50:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県)[saga]
2012/09/30(日) 12:28:20.76 ID:eSSveo1wo
「こんにちは」二人がぎこちなく挨拶した。
「おお、そうじゃ」と老人が言った。
「そうじゃとも、そうじゃとも。まもなくお目にかかれると思ってましたよ佐倉さん」
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2012/09/30(日) 12:31:27.40 ID:eSSveo1wo
「悲しいことに、ご両親を殺したのも、わしの店で売った杖じゃ」静かな言い方だった。
「三十四センチもあってな。イチイの木でできた強力な杖じゃ。とても強いが、間違った者の手に……
そう、もしあの杖がの中に出て、何をするかわしがしっておればのう……」
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2012/09/30(日) 12:32:45.77 ID:eSSveo1wo
「ああ、じいさまそのとおりです」
「いい杖じゃった。あれは。じゃがおまえさんが退学になった時、真っ二つに折られてしもうたのじゃったな?」
オリバンダー老人は急に険しい口調になった。
53:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県)[saga]
2012/09/30(日) 12:34:49.91 ID:eSSveo1wo
「それではお嬢さん方。拝見しましょうか。どなたから?」
老人は銀色の目盛りの入った長い巻尺をポケットから取り出した。
「はい!はい!私から!美樹さやかから!」さやかが言った。
54:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県)[saga]
2012/09/30(日) 12:36:43.57 ID:eSSveo1wo
さやかは巻尺が勝手に鼻の穴の間を測っているのにハッと気がついた。
オリバンダー老人は棚の間を飛び回って、箱を取り出していた。
「もうよい」と言うと巻尺は床の上に落ちて、クシャクシャと丸まった。
55:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県)[saga]
2012/09/30(日) 12:38:45.64 ID:eSSveo1wo
「すばらしい、いや、よかったさて、さて、さて……お次はどちらかな?」
「アタシ、杖はそれだ」
「私、杖はそれです」
杏子とまどかは箱を指さして同時に言った。
56:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県)[saga]
2012/09/30(日) 12:42:10.03 ID:eSSveo1wo
老人は二人の杖を箱に戻し、茶色の紙で包みながら、まだブツブツと繰り返していた。
「不思議じゃ……不思議じゃ……」
「あのう。何がそんなに不思議なんですか」とまどかが聞いた。
57:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県)[saga]
2012/09/30(日) 12:43:55.89 ID:eSSveo1wo
杏子は身震いした。ほむらがひとりで杖を選びたいと言ったので、杖の代金に七ガリオンを支払い、オリバンダー老人のお辞儀に送られて四人は店を出た。
しばらくするとほむらも店を出た。
「どんな杖になったの暁美さん?」まどかが聞いた。
58:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県)[saga]
2012/09/30(日) 12:46:26.22 ID:eSSveo1wo
孤児院に戻って過ごした出発までの一ヶ月間は、杏子にとって有意義だった。
これまで知らなかった世界の教科書を読むのは楽しかった。
自分と世界との繋がりを感じられ、今までの孤独感が変わったものになった。
ふくろうも一緒だった。ふくろうの名はヘドウィグに決めた。「魔法史」で見つけた名だ。
ヘドウィグは開け放した窓から自由に出入りした。しょっちゅう死んだねずみを食わえてきたので、ミセス・コールが嫌な顔をしたが、杏子はお構いなしだった。
59:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県)[saga]
2012/09/30(日) 12:48:00.19 ID:eSSveo1wo
戸惑っていると、こんな言葉が飛び込んできた。
「……マグルで混み合ってるわね。当然だけど……」
杏子は急いで後ろを振り返った。青い髪の美しい女性が、同じく青い髪の少女に話しかけていた。さやかだ。
60:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県)[saga]
2012/09/30(日) 12:49:15.04 ID:eSSveo1wo
「うーん……オーケー」
さやかはカートをくるりと回して、柵をにらんだ。頑丈そうだった。
さやかは歩きはじめた。九番線と十番線に向かう乗客が、さやかをあっちへ、こっちへと押すので、さやかはますます早足になった。改札口に正面衝突しそうだ。
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