32: ◆HvWr2kWl99Dz[saga sage]
2012/10/01(月) 02:41:35.24 ID:OoeWSQId0
「あんたも送って行ってやったほうがいいんじゃないの?」
どうにも頼りない二人の様子を見て、アクアはマミにそう言った。
けれどマミは何も言葉を返すことはなく、そのままその場に蹲ってしまった。
「――っ、ァ。はぁ……ッ、く、う、うぅ……」
「ちょっと、おい。あんた……しっかりしなよ、ほら」
漏れ出したのは嗚咽。
蹲り、食いしばった歯の隙間から、消しきれない声が漏れていた。ガチガチと歯の根の震える音と共に。
その姿にアクアは事実を悟る。
魔法少女と呼ばれるそれは、魔法の力を持つそれは、例えその力がどれほど強力であろうとも
精神まで人間離れしてしまったわけではないという事を。
事実、恐怖に震えて必死に嗚咽を噛み殺しているマミの姿は見た目相応……
というにはいささか幼い気もするが、ただの少女としては当然の姿にしか見えなかったのだから。
だからこそ、アクアはそんなマミに手を伸ばした。
膝を抱えるその手を掴み、無理やりにでも立ち上がらせた。
「ごめんなさい……でも、今頃になって、足が震えてきちゃって……笑っちゃうわよね」
手を引かれて立ち上がるも、その足はガクガクと震えていて。
自嘲気味にそう言うマミの姿は、先ほどまでの魔法少女の姿から見ればあまりにも頼りなく見えた。
「ったく、泣き言言ってんじゃないよ。これでも食ってな」
嗚咽交じりの息を漏らしたマミの口に、ひょいと何かが放り込まれた。
舌先に甘みを感じたのも一瞬。マミはそれをそのままごくりと飲み込んでしまった。
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