過去ログ - 極悪人「レイプしてやろうか?」  お嬢様「ええっ!?」
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30: ◆2Ru5HhxpIY[saga]
2012/10/27(土) 07:46:18.48 ID:pcFXo7wr0
別の意味で満腹となった俺たちは、ゆったりと流れゆく時間を感じながら寛いでいた。

そんな平穏に水を差すように、“来訪者”は前触れもなく訪れる。

「・・・クライド、外」

リリアンが窓から小さく顔を覗かせて言う。
俺もリリアンと同じく窓から外を覗くと、地味なフードを被った男が近づいてきていたのが見えた。
視線を四方八方に巡らしたが、他に不審な人物はいなかった。
どうやらあの男一人だけのようだ。

「リリアン、エウジェーニアを地下倉庫に隠してくれ」

「わかった」

いきなり抱きかかえられたエウジェーニアが、四の五の言う隙すらも与えず、リリアンはエウジェーニアと共に地下倉庫へ消えていった。
それほどの大きさもない倉庫だが、人間二人位は入ることができる。

男は既にドアの前に立っていた。
何時ぞやの、“一定のリズム”でノックされるドア。
・・・警戒は解かない。
いつでも腰に忍ばせてある短剣に手がのばせるように、身構えて扉を開けた。

「・・・やあ、私だクライド君」

俺はその声に聞き覚えがあった。
その声を聴く者を威圧し、震えさせる・・・、かつて“暴力の声”、その異名で呼ばれた、「アドルファーティ王」その人である。

「アドルファーティ王・・・、どうしてここへ?」

「・・・私の娘が元気でやってるか見に来ただけだ」

素っ気なくそれだけ伝えると、アドルファーティ王は視線を隠れ家の隅々へ巡らせた。
まるで蛇が獲物を探すように、まとわりつく様に、ゆっくりと視線を巡らせた。

「リリアン、出てきていいぞ」

その言葉とほぼ同時に、リリアンは地下倉庫からチーターの如き素早さで飛び出した。
手中には、窓から入ってくる日光を受け、煌く短剣が逆手で握られている。

「素早いが・・・まだ・・・・・・!」

王が語尾を荒げ、身構えた。
リリアンと、王の距離、僅か十数センチ。
下手に動けばリリアンの短剣が、容赦なく王の体を貫くだろう。

「・・・なッ・・・!?」

リリアンが驚嘆の声を上げ、そのまま前のめりに姿勢を崩す。
どの方向に動いても確実に、短剣で仕留められた筈である。
彼女の一撃必殺の刃が、王によっていとも簡単によけられたのだ。

「今の私の術は、幻影の術。・・・お前が今まで捉えていた“私”は“虚空の私”だ・・・・・・そして」

王の手に握られた宝石に彩られたナイフが、リリアンの首にピタリと当てられる。

「・・・ッ・・・はァ・・・ッ!」

金属が持つ特有の冷酷な冷たさを首筋に感じて、リリアンは思わず緊張の糸を切らし、大きく息を吐いた。
膝をつくリリアンを尻目に、王は自慢のナイフをゆったりとした動作で鞘に収めた。

「・・・さて、“ニア”に会いたいのだが」




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