過去ログ - 少女「治療完了、目を覚ますよ」−オリジナル小説
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2012/10/16(火) 17:32:52.68 ID:Xp8Q5vyA0
PCの中から発掘した長編小説を、時折思い出したように貼っていきます。
サイコ系、ホラー要素が入ったリアル系夢物語です。
「私は逃げない。だって、私は医者で、あなたは患者だから……!」
――少女の叫びが乾いた空気を切った。
SSWiki :
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2012/10/16(火) 17:34:31.54 ID:Xp8Q5vyA0
☆
巨大な「目」の下に、彼女は立っていた。
目を取り囲むのは、無数の目。
以下略
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2012/10/16(火) 17:35:17.02 ID:Xp8Q5vyA0
空は黒い。
どこまでも黒い。
その真上に、空全体を覆い隠すほどの眼球が、
以下略
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2012/10/16(火) 17:36:52.59 ID:Xp8Q5vyA0
彼女は、眼前にぽっかりと空いた「穴」の前に進んだ。
穴は、肉の床が崩れ、内部に人間の体内に似たものが見える。
丁度食道を内視鏡で見るかのような感覚だ。
以下略
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2012/10/16(火) 17:37:45.98 ID:Xp8Q5vyA0
マイクの向こう側から、まだうら若い青年の声が聞こえる。
「…………」
『おい、汀(みぎわ)、聞いてるのか?』
以下略
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2012/10/16(火) 17:38:30.88 ID:Xp8Q5vyA0
『すぐ戻れ! この患者はレベル4だぞ。入り口まで出てこれるか?』
「見つかっちゃったの。逃げられないの」
ゆっくりと、言い聞かすようにそう言って彼女はウフフと笑った。
以下略
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2012/10/16(火) 17:39:21.36 ID:Xp8Q5vyA0
「鬼さんこちら!」
ぶちゅり。眼球を踏み潰す。
「手の鳴る方へ!」
以下略
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2012/10/16(火) 17:39:57.00 ID:Xp8Q5vyA0
彼女が着ているものは病院服だ。
右から眼球が飛んできて、左の壁に当たって爆ぜる。
嫌な汁と血液のようなものが飛び散る。
以下略
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2012/10/16(火) 17:40:32.36 ID:Xp8Q5vyA0
しかし、次の瞬間、眼球が一つ汀の脇腹に食い込んだ。
不気味な音を立てて爆ぜ、彼女の顔に、
パタタタッと音を立てて汁が飛び散る。
以下略
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2012/10/16(火) 17:41:14.80 ID:Xp8Q5vyA0
それが爪を立てた子供の手の形になり、
汀の服をむしりとろうとする。
彼女は、口の端からよだれをたらしながら、
しかし楽しそうにそれを払いのけ、また飛んできた眼球をくるりと避けた。
以下略
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2012/10/16(火) 17:42:04.35 ID:Xp8Q5vyA0
★
一瞬視界がホワイトアウトした。
次いで彼女は、狭い、四畳半ほどの真っ白い、
以下略
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2012/10/16(火) 17:42:58.61 ID:Xp8Q5vyA0
汀は無造作にその前に進み出ると、腰を屈めて、頭を小さな手で掴んだ。
そして顔を自分の方に向ける。
耳も、口も鼻もない。
以下略
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2012/10/16(火) 17:44:14.35 ID:Xp8Q5vyA0
「あなたは、そんなに他人の目が気になるの?」
マネキンはゆっくりと頷いた。
何の音もない空間に、汀の声だけが響く。
以下略
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2012/10/16(火) 17:44:44.85 ID:Xp8Q5vyA0
汀はまた微笑むと、その頭を両手で包むように持った。
そして眼球に、両手の親指を押し付ける。
「じゃあ見なきゃいいよ」
以下略
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2012/10/16(火) 17:45:22.46 ID:Xp8Q5vyA0
「私がそれを、許してあげる」
マネキンの手が動き、汀の首を掴んだ。
それがじわりじわりと、彼女の細い首を締め付けていく。
以下略
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2012/10/16(火) 17:45:57.52 ID:Xp8Q5vyA0
汀は拳を振り上げると、眼球がつぶれたマネキンの顔面に、何度も叩きこんだ。
血液が飛び散り、その度にビクンビクンと、魚のようにマネキンが震える。
やがて汀の病院服が、転々と返り血で染まり始めてきた頃、
以下略
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2012/10/16(火) 17:47:09.68 ID:Xp8Q5vyA0
★Karte.1 劣等感の階段★
「……と言うことで、旦那様は一命を取り留めました」
眼鏡をかけた、中肉中背の青年が、柔和な表情でそう言った。
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2012/10/16(火) 17:48:00.36 ID:Xp8Q5vyA0
「視力?」
信じられないといった顔で女性は一旦停止すると、
白衣を着た青年に掴みかからんばかりの勢いで大声を上げた。
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2012/10/16(火) 17:48:40.92 ID:Xp8Q5vyA0
「先生!」
女性が机を叩いて声を張り上げた。
「主人の目が見えなくなって、
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2012/10/16(火) 17:50:17.47 ID:Xp8Q5vyA0
「脳性麻痺の疑いもありませんし、植物状態になったわけでもありません。
ただ、『目が見えなくなった』だけで済んだという『事実』を、
私は貴女にお伝えしたまでです」
「…………」
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2012/10/16(火) 17:51:08.05 ID:Xp8Q5vyA0
★
散々喚き散らした女性を軽くあしらい、
診断室を追い出した青年は、息をついてカルテをベッドの上に放り投げた。
以下略
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