過去ログ - まどか「杏子ちゃん、それはちょっと食べすぎじゃない……?」
1- 20
69: ◆GnIWQD74f.[saga]
2012/10/25(木) 23:24:01.48 ID:Oag8Fy6uo
「だけど、君がそれを願って魔法少女になるのなら……」

 インキュベーターがその残酷な言葉を言い終える前に、私は時を停めてゴルフクラブを盾から取り出してきゅうベエを叩き潰した後に、再び時を動かした。

「ひっ……」

 インキュベーターの潰れた死骸を見たまどかは、ひどく怯えてしまった。

「いい加減にして! これ以上まどかの事を苦しめないでよ……!」

 怯えているまどかを前にしても、私は彼女を慰めようとする事もせず無償に虚しくなってしまい、その場で地面に膝をついて泣き崩れてしまった。

「ほむらちゃん……。ごめんなさい……」

 やり場のない気持ちを持った私の事を、まどかは謝りながら背中から優しく抱きしめてくれた事に対して私はとても驚いてしまった。

「……まどか!」

「そうだよね……。ほむらちゃんが心身を削ってまで苦労して手に入れた世界だもんね……。
それをわたしが勝手に壊してしまったらほむらちゃんが悲しむだけだもの……。だから……わたしは魔法少女には絶対にならないよ!」

 どこからともなく現れたインキュベーターが、まどかのその話を聞きながら前の自分の潰れた死骸を食べ、残念そうにしながら溜息を吐いていた。

「やれやれ……。それが君の答えかい」

 突然生きているインキュベーターが私達の前に現れた事に対して、まどかは驚きながら見ていた。

「君が魔法少女になりさえすれば、全ての夢見る少女を救えるかもしれないと言うのに」

 そんなインキュベーターの詭弁に対して、まどかは動じる事もなく答える。

「……わたしが魔法少女になってしまったら、ほむらちゃんは救われないじゃない!」

「何事にも犠牲は付き物じゃないかな」

 インキュベーターはしつこく、まどかの事を魔法少女にしようと説得をしていたが、まどかは自分の意志を曲げる事はなかった。

「だったら……。私は一人の女の子の幸せを選ぶ! 他の子の事は他の子にでも任せる!」

 そんなまどかの魔法少女には絶対にならないという意志を感じ取ったのか、インキュベーターは大きな溜息を吐いた。

「ふう……。君にはもう何を言っても無駄みたいだね。分かった。本当にさよならだ」

 そう言い残してインキュベーターは、この場を立ち去ってしまった。
 その途端にまどかの身体から力が抜けて私の背中にぎゅっとのしかかってきた。

「わっ……!」

 その時私は、まどかの心音を背中で感じてしまい妙にドキドキしてしまった。
 そんな私の気持ちなど知る由もないであろうまどかが、私の背中でぐったりとしたまま溜息を吐く。

「はあ……。疲れたあ……」

「まどか……ごめんなさい。あなたを縛り付ける様な言い方をしてしまって……」

 私のこの気持ちは、まどかにとって足枷にならないのかと考えてしまい、彼女につい謝ってしまった。

「ううん……。良いんだよ、ほむらちゃん。わたしはほむらちゃんにこんなにも思われているんだから、他の事なんてどうでもいいの……」

 私は、まどかのその言葉でとても救われたような気がして、嬉しさのあまりに顔をくしゃくしゃにしながら涙を流してしまった。

「ありが……とう……!」

「えへへへ……!」

 まどかは優しく微笑みながら、私の頭を優しく撫でてくれた。

「……ああもう! どうしてあたしはキュゥべえに何も言い返せなかったんだよ……!」

 美樹さやかは、相当悔しそうな様子で髪を掻き乱していた。

「仕方ないわ……。確かに美樹さんと私は、どんな形であっても自分の為の願いが叶ったのだからキュゥべえに言い返せるわけがないのよ……」

 巴マミはとても悲しそうに俯きながら話していた。そんな彼女の意見は、私にも同意できる所があった。

「巴さんの言う通りよ……。私だって結局の所まどかとの出会いをやり直したい、なんてすごく自己満足な願いを叶えてしまったんだもの……」

 自分の願い事に対して嘆いている私達に続くように、佐倉杏子が悲しそうに語る。


<<前のレス[*]次のレス[#]>>
108Res/228.66 KB
↑[8] 前[4] 次[6] 板[3] 1-[1] l20
このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています。
もう書き込みできません。




VIPサービス増築中!
携帯うpろだ|隙間うpろだ
Powered By VIPservice