過去ログ - 「俺は愛を餌に生きてィる」
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5: ◆QkRJTXcpFI[sage saga]
2012/11/30(金) 11:58:49.24 ID:nlsr789Z0
「とんだ自己犠牲精神だ。君はきっと良き英雄になれるだろう。
 けれど俺が望んでィるのは英雄じゃなくて、餌だ。理解できるか?」

少年「……」ギュッ

少年が愛する者を護る心は決して英雄に似通った崇高さではない。
愛する者に迷惑をかけてしまう罪悪感。その一点を得たくないだけだ。

臆病者が臆病に飲まれて瞼を強く下ろす。
なんて短い人生だったんだと過去を振り返る勇気すらない。

「……少年。君はまず、人間としての本質を学ぶべきだ」

"蜃気楼"が少年に向かって静かに近づいていく。
歩くわけでも浮いてるわけでもなく、連写のネガのように迫り――重なった。

少年「ぐっ……!?」

目を瞑っていた少年はなにがなんだか把握できなかったが、
体に、心に異物が侵入したということだけは辛うじて実感できた。

多大な吐き気を催して、喉に指を入れて突っ伏せる。
胃液ばかりが出るばかりで肝心のナニカは胸の辺りで燻っている。

少年「ぅぅっ……ぅぅっ……」ポロポロ

気味の悪さと永続をちらつかせる現在〈イマ〉に涙が溢れた。
死んだ方がマシだということもあると少年は知った。


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