過去ログ - 【オリジナル】魔導機人戦姫 第34話〜【なのかもしれない】
1- 20
22:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga sage]
2012/12/03(月) 20:20:36.35 ID:uc/YTnbAo
カナデ「ねぇ、姉さん……コレ、知ってるよね?」

カナデは自分が座っていたガラクタの山をその大剣の切っ先で指し示しながら尋ねる。

ガラクタの山など、任務で踏み込んだ研究所やらテロ組織のアジトやらで何度も見ていた。

だが、カナデが敢えて尋ねて来たからには何かあるのだろうと、
奏は警戒しながらもガラクタの山を見遣る。

確かに、どこか見覚えがあった。

研究院やグンナーの研究船で見た物ではない。

もっと昔、十五年以上も過去の……。

奏「まさか……!?」

カナデ「やっぱり分かる?
    そう、あの女の使ってた機材だよ」

愕然とする奏に応えると共に、カナデはそのガラクタと化した機材に刃を突き立てた。

カナデ「もっと言うとね、コレが私を閉じ込めていたカプセルと、
    その維持に使われていた機械……。

    ……私達の“オカアサンノオナカ”だよ」

カナデはそう言って、機材に突き立てていた刃を薙ぎ払う。

もう何度もそうされて来たのだろう、
よく見れば機材は切り裂かれた跡や叩き潰された跡だらけでボロボロだ。

奏「オカアサンノ、オナカ………」

その単語を聞きながら、奏はやはりショックを隠し切れない。

オカアサンノオナカ……
人造人間とも言える魔導ホムンクルスのクローンにとって、
確かに母の子宮に相当する物だろう。

理解していたつもりだった。

母に心底から愛されてはいたが、母の胎内から生まれたワケではない。

試験管の中で生を受け、長く生きられない母の代役として生まれた自分。

その事実は絶対に消えない。

消えようがないのだ。

カナデ「……ねぇ、何でだろうね?」

ガラクタの山に刃を突き立てながら、カナデは尋ね、さらに続ける。

カナデ「同じ細胞から培養が始まって……どうしてこうも違うの……?」

その言葉と共にガラクタを薙ぎ払い、また刃を突き立てた。

奏「違う……?」

カナデ「違うでしょう!?

    同じ細胞から培養されたAとB、
    選ばれたAの姉さんはあの女を母さん母さんって慕って、
    大切にしてくれる友達がいて、仮初めでも家族がいるじゃない!」

怪訝そうに問い返した奏に、カナデは目を見開いて叫ぶ。

奏の方を見る事なく、何度も何度も、ガラクタの山に大剣を叩き付ける。

カナデ「Bだった私は、自分を作ろうとした女にすら不要扱いされて!
    姉さんがあの女の娘として幸せを謳歌してる間、
    私はそれすら知る事も出来ずに受精卵のまま凍結封印!」

まるで熱病に魘されるかの如く、カナデはガラクタの山を叩き壊して行く。

ガラクタ同然だった機材の山は、いつしかにスクラップの山に姿を変えていた。


<<前のレス[*]次のレス[#]>>
831Res/1775.33 KB
↑[8] 前[4] 次[6] 板[3] 1-[1] l20
このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています。
もう書き込みできません。




VIPサービス増築中!
携帯うpろだ|隙間うpろだ
Powered By VIPservice