過去ログ - 【オリジナル】魔導機人戦姫 第34話〜【なのかもしれない】
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VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[saga sage]
2012/12/03(月) 20:21:29.69 ID:uc/YTnbAo
自分に訪れたかもしれない出逢い。
自分に注がれていたかもしれない愛。
自分が抱いたかもしれない夢と希望。
その全てを、AかBかと言う違いだけで得る事すら許されなかった。
それは、奏にとっても同じだ。
ただ偶然にも、自分はA……初期培養の段階で選ばれた。
母を得て、喪って、キャスリン達と出逢って、
グンナーの元で暗闇の中を彷徨うような幼少期を過ごした。
それは確かに不幸だったかもしれない。
だが、その不幸すら幸福に至るための通過点だったと思えるほどの幸せに、
今の自分はその身を置いている。
命の恩人とも言える親友が傍にいて、
尊敬する女性と同じ職に勤め、養子とは言え愛する娘だっている。
その全てが、選ばれなかったと言うだけで手に入らなかったとしたら。
そう考えるだけで心が折れそうになるのは、
自分の心をその全てが支えてくれているからだ。
だが――
奏「それは……」
奏はその恐怖すら振り払って、目の前の少女を見据えて口を開く。
奏「……違うよ」
槍の穂先と短剣の切っ先を下げて、
努めて優しい声音で呟き、さらに続ける。
奏「たとえそうでも、ボクはボクで……君は君なんだよ」
カナデ「ゼンモンドウみたいな事を言うな!」
優しく語りかける奏の言葉を振り払うように、カナデは叫ぶ。
奏「禅問答なんかじゃないよ……」
カナデ「じゃあ何、余裕のつもり!?
どう足掻いても選ばれるのは自分だったって言いたいの!?」
哀しそうに目を伏せて否定した奏に、カナデは怒りの言葉を投げかける。
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