過去ログ - 【オリジナル】魔導機人戦姫 第34話〜【なのかもしれない】
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4:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga sage]
2012/12/03(月) 20:11:24.75 ID:uc/YTnbAo
クライブ「……セシリア……セシル……か……?」

クライブは力強い笑みを浮かべたセシルの顔を見上げたまま、呆然と目を見開く。

傍らのジルベルトも、クライブがセシルの事を見上げている事に気付いていたが、
どう声をかけていいか分からずに押し黙ってしまう。

セシリア・アルベルト……以前の名はセシリア・ブルーノ。

四年前のトリスタン・ゲントナー事件の発端となるエージェント大量惨殺事件で、
犠牲者の一人となったキャスリン・ブルーノの一人娘だ。

その後、母のかつでの部下であり友人でもあったレギーナ・アルベルトの養子となり、現在に至る。

亡き母はシングルマザーであり、生まれてからの約二年間半を母の投獄と言う事情から離ればなれで過ごした。

彼女自身は父親が誰であるかを聞かされておらず、母の死後も顔を見せない事、
義母がその件について追求しない事から、決して触れてはいけない事と思い込んでいる。

そして、そんなセシルの父親こそが、
今彼女を見上げて呆然としているクライブ・ニューマンその人なのだ。

言ってみれば――

セシル「おい、オッサン! ボーッとしてると危ないぞ!」

自分を見つめるクライブの視線に気付いたセシルが、呆れたような声を上げた。

クライブ「あ……ああ」

クライブは呆然としたまま頷く。

――それが、父と娘の初めての出逢いだった。

セシルはアンディとユーリが後方まで下がった事を確認すると、
呆然とした様子のクライブの元に降り立つ。

セシル「本当に大丈夫かよ?」

ジルベルト「お、おいセシル……」

呆れ果てたような様子のセシルに、ジルベルトは戸惑い気味に声をかける。

セシル「ジルベルトからも何か言ってやれよ!
    まったく、候補生のアタシだってこんな頑張ってんのに」

溜息がちに二十歳近く年上の知り合いに対して、平然とため口を宣う少女。

旧グンナー私設部隊の隊員のほぼ八割は勤労奉仕と言う形で研究院に属しており、
母・キャスリンが存命中の頃からその全員と親交があった事もあって、
セシルは母に倣った呼び方で彼らと接していた。

余談であるが、彼女が“さん”を付けるのは、
奏と乳児の頃に面倒を見てくれていたシエラ・ハートフィールドだけだ。

口が悪いのは幼い頃からの物で、今に始まった事でない。

ただ、身元を引き受けてくれたレギーナの事だけは、今では“母さん”と呼んで慕っている。


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