過去ログ - 【オリジナル】魔導機人戦姫 第34話〜【なのかもしれない】
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5:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga sage]
2012/12/03(月) 20:11:51.89 ID:uc/YTnbAo
ジルベルト「候補生なら候補生らしく、
      俺の事はエージェント・モンテカルロって呼ばないか……。

      先輩だぞ……一応」

ジルベルトは溜息がちに呟いた。

セシル「はーい、エージェント・モンテカルロ」

セシルは何処か不満げに漏らす。

だが、近付いて来た機人魔導兵に気付くと、
フレイル状のギアの先端に取り付けられた錘をチェーンワイヤーで伸ばし、
その首を絡め取って近場にいた敵の群へと投げ飛ばした。

セシル「これで……止めッ!」

体勢を崩した敵の群に向けて、大型の魔力弾を叩き込んで霧散させる。

セシル「よしっ、まだまだ絶好調!」

その光景を確認して、セシルは満足そうに胸を張った。

母譲りの素早さと、父譲りの射撃の正確さ。

亡き師に得難い才能と評させた高い才覚は、
幼いながらに確実に開花の時を迎えようとしていた。

自分の事を知らぬ娘の戦い振りを見ながら、クライブは不意に口元に笑みを浮かべ、口を開く。

クライブ「………ボウズ、魔導巨神事件の頃の譲羽の嬢ちゃんと同い年くらいか?
     なかなかやるじゃねぇか」

セシル「誰がボウズだ!?
    アタシはレディーだぞ!」

クライブの言に、セシルは憤慨した様子で返した。

クライブ「ハハハッ、レディーか。
     そりゃそうだな、悪い悪い」

クライブは豪快に笑い飛ばすように言って、セシルの頭をポンポンと軽く叩くようにして撫でる。

セシル「子供扱いもヤメロよぉ、これでもBランクオーバー相当なんだぞ!」

クライブ「そいつはスゲェな……」

照れ隠しが込められたセシルの言葉に、クライブは驚きながらも目を細める。

セシル「っと、こんな事してる場合じゃないんだった!
    アタシ、はぐれちゃったクリス姉探さないといけないから、またな!」

クリスは思い出したように叫ぶと、慌てて飛び上がった。

だが、すぐに二人へ振り返る。

セシル「ぼーっとしてて死んじゃうなんて、絶対に駄目だぞ、ジルベルト!
    それにオッサンも!」

僅かな照れ隠しで語気を強めた、だが二人への確かな気遣いを感じさせる言葉を叫ぶ。

クライブ「おう、達者でな、ボウズ」

セシル「だからボウズじゃないって!」

そんな軽妙なやり取りを終えて飛び去って行くセシルの背を、
クライブは視線で追い続ける。

見る見る間に小さくなって行く背中は、今から追っても追い付きそうにない。

そのスピードに頼もしさと驚きと、どこか寂しささえ感じながら、
クライブはスッと目を細めた。


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