過去ログ - 【オリジナル】魔導機人戦姫 第34話〜【なのかもしれない】
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816:OTかわりまして強化人間がお送りします ◆22GPzIlmoh1a[saga sage]
2014/05/21(水) 20:55:22.99 ID:2G4aw9fto
 だが、彼女の意に反して、その目にはうっすらと涙が浮かんでしまう。

歩実「空お姉ちゃん……?」

空「あ、ごめんなさい……!」

 歩実が不思議そうに首を傾げると、空は慌てて目元に浮かんだ涙を拭う。

佳乃「お前、ホントに涙もろくなったよな」

雅美「ええ、本当に……」

 昔からの空を知る佳乃と雅美は、一度顔を見合わせてからどこか嬉しそうに語る。

 空はその生い立ち――ギガンティック機関に入隊する以前の、
 彼女が知り得た範囲での事だ――故に、どこか自分の感情を抑圧する傾向にあった。

 そして、それは姉・海晴の死を境に、さらに強固となってしまう。

 憎しみに飲まれて戦った際に、どす黒い感情の恐ろしさに空自身が気付いてしまったからだ。

 激しい情動に身を任せる事を無意識に抑圧してしまった空は、
 多くの仲間達との出会いやふれ合いを通し、そして、自身の戦う意義を見出して、
 ようやく本来の……幼い頃からの彼女らしさに立ち返る事が出来た。

 涙もろくなってしまったのは、言ってみれば良い事なのだ。

真実「私は、最初から泣き虫の印象ですけどね、空は」

 親友達の様子を察してか、真実はどこか戯けた調子で呟いた。

空「えぇ……ひ、ひどいよ真実ちゃん」

 真実の突然の言葉に、空は思わず困り顔で返す。

歩実「お姉ちゃん……」

 姉の辛辣とも取れる言葉に、歩実も少しだけ不満そうである。

真実「早とちりするんじゃありません」

 だが、真実は二人を窘めるように言って、さらに続けた。

真実「本当に泣きたい時に泣ける強さが、元より空にはあると言っているんです」

雅美「……成る程」

 真実の言葉に、雅美が納得したように漏らす。

 そして、そこから一拍置いて、佳乃も納得したようにポンと手を叩く。

 だが――

佳乃「ああ! そう言う事か!
   さすがツンデレ! アタシらとは目の付け所が違うな」

真実「誰が、ツンデレ、ですの!?」

 ――続く佳乃の弁に、真実は僅かばかりに怒りに震える声で漏らす。

佳乃「いや、いざと言う時以外は素直になれないのがツンデレの持ち味だし?」

真実「そのツンデレを撤回なさい!」

 戯けたように返した佳乃に、真実は声を荒げた。

 一方、雅美も佳乃と大方は似たような納得の仕方だったのか、
 我関せずと視線を逸らしている。

空「み、みんな……」

 思わず噴き出してしまいそうになる親友達のやり取りに、
 空はやはり噴き出しそうになりながら目を細めた。


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