過去ログ - 男「しかし、雨が降るんだろ?」 - オリジナル小説
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1:三毛猫 ◆E9ISW1p5PY[saga]
2013/01/02(水) 22:19:11.83 ID:Q3TbXfdh0
明けましておめでとうございます。

お正月特番で、過去作成したオリジナル小説の一つを
思い出したかのように淡々と貼っていきます。

全四話です。

怪奇モノのバトル小説です。

「人間なんて、そんなもんだ」
 ――寂しそうな声は、しかしそれでもはっきりと耳に残った。



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2:三毛猫 ◆E9ISW1p5PY[saga]
2013/01/02(水) 22:21:07.52 ID:Q3TbXfdh0
 どこまでも続く荒涼とした世界だった。
 
 焼けた空気が舞い、焦げた空気が辺りを包む。
 
 動く者はいない。
以下略



3:三毛猫 ◆E9ISW1p5PY[saga]
2013/01/02(水) 22:22:44.20 ID:Q3TbXfdh0


 にぎやかな町並みを見回し、男はテントの影に力なく腰を下ろした。
 
 もう体中の水分が抜けてしまっていた。
以下略



4:三毛猫 ◆E9ISW1p5PY[saga]
2013/01/02(水) 22:23:55.95 ID:Q3TbXfdh0
 しかし男は、無造作にマントをはだけて、
 むき出しの皮膚を、天に輝く太陽に向けていた。
 
 上半身はタンクトップの伸びきった下着一枚。
 
以下略



5:三毛猫 ◆E9ISW1p5PY[saga]
2013/01/02(水) 22:25:11.18 ID:Q3TbXfdh0
 一振りしたら根元から折れてしまいそうなそれを右手で掴み、
 男は大きく足を広げてテントに寄りかかった。
 
 じりじりと皮膚を焼く外気と熱線。
 
以下略



6:三毛猫 ◆E9ISW1p5PY[saga]
2013/01/02(水) 22:27:00.70 ID:Q3TbXfdh0
 熱で歪んだ視界に、少し離れたところで売られている
 樽入りの水が飛び込んでくる。
 
 百……二百、二百五十。
 
以下略



7:三毛猫 ◆E9ISW1p5PY[saga]
2013/01/02(水) 22:28:10.11 ID:Q3TbXfdh0
 砂が張り付いたみすぼらしい彼を見下ろしていたのは、
 黒くしっかりとしたマントに身を包んでいる、二人の男だった。
 
 顔は空気清浄のマスクに隠れていて、見えない。
 
以下略



8:三毛猫 ◆E9ISW1p5PY[saga]
2013/01/02(水) 22:29:51.84 ID:Q3TbXfdh0
 その拍子に唇の端が軽く割れ、慌てて手でそれを押さえた。
 
 血が出ていないことを確認し、口を開く。
 
 「話って?」
以下略



9:三毛猫 ◆E9ISW1p5PY[saga]
2013/01/02(水) 22:31:03.61 ID:Q3TbXfdh0
 「ついてきていただければ分かります」
 
 オウム返しにそう返され、青年はしばらく周りを見回した後、頷いた。
 
 「お心遣い、感謝します」
以下略



10:三毛猫 ◆E9ISW1p5PY[saga]
2013/01/02(水) 22:32:11.12 ID:Q3TbXfdh0
 これはどこのオアシスにもある、
 中央都市と呼ばれているもの、いわゆる、上層だった。
 
いつの間にか四人に増えた黒マントの男に左右を固められ、
かけられた橋から外壁に近づく。
以下略



11:三毛猫 ◆E9ISW1p5PY[saga]
2013/01/02(水) 22:33:53.24 ID:Q3TbXfdh0
 下層の者が上層に入るための市民権は、一応得ることは可能だが、
 とんでもない額の金銭が必要となるのが常だった。
 
 それはそうだ。機械で整備された暮らしやすい空間だとして、
 その内部は無限ではない、有限だ。
以下略



12:三毛猫 ◆E9ISW1p5PY[saga]
2013/01/02(水) 22:34:48.46 ID:Q3TbXfdh0
 間近のエレベーターに乗り込み、数分。
 
 そして通されたのは、ひらけた部屋だった。
 
 やけに調度品が立ち並んでいる。
以下略



13:三毛猫 ◆E9ISW1p5PY[saga]
2013/01/02(水) 22:36:38.99 ID:Q3TbXfdh0
 「おお、見つかったか」
 
 自分のことを探されていたかのような口ぶりに、
 青年は軽く目じりを動かした。
 
以下略



14:三毛猫 ◆E9ISW1p5PY[saga]
2013/01/02(水) 22:37:53.79 ID:Q3TbXfdh0
 「……どうゆうこと?」
 
 逆に聞き返すと、エンドクと名乗った小男は、
 自分も腰を下ろしながら意外そうに黒マントの一人と顔を見合わせ、
 伺うように口を開いた。
以下略



15:三毛猫 ◆E9ISW1p5PY[saga]
2013/01/02(水) 22:39:00.84 ID:Q3TbXfdh0
 それを先ほどのように市長に向けて突き出し、口を開く。
 
 「確認してみろよ」
 
 戸惑いがちにエンドクが黒マントの一人に目配せをすると、
以下略



16:三毛猫 ◆E9ISW1p5PY[saga]
2013/01/02(水) 22:40:22.77 ID:Q3TbXfdh0
 段々と自身がなさげに市長の言葉が消えていく。
 
 メルヘドはしばらく考えた後、無造作にカードリーダーからカードを抜き取り、
 マントの別のポケットから小型の端末機械を取り出した。
 
以下略



17:三毛猫 ◆E9ISW1p5PY[saga]
2013/01/02(水) 22:41:30.53 ID:Q3TbXfdh0
 メルヘドには微妙な言葉の訛りがあった。
 
 舌足らずというのだろうか、早口なのであるが、呂律がうまく回っていない。
 
 彼の不遜な態度に、市長は数秒呆気に取られていたが
以下略



18:三毛猫 ◆E9ISW1p5PY[saga]
2013/01/02(水) 22:42:23.97 ID:Q3TbXfdh0
 アイコンタクトを受けた男が、部屋の隅に歩いて行き、
 壁に埋め込まれるように設置されていた巨大金庫と思しきものの前に立つ。
 
 何桁かの暗証番号を入力して開くと、中から白い冷気がぼんやりと流れ出た。
 
以下略



19:三毛猫 ◆E9ISW1p5PY[saga]
2013/01/02(水) 22:43:26.15 ID:Q3TbXfdh0
 「興味ねぇからな。知らない」
 
 「そ、そう仰らずに。丁度今がその祭の最中なのですが、
 我々の信仰する神に捧げる供物を狙って、
 昨今盗賊が出没するようになったのです」
以下略



20:三毛猫 ◆E9ISW1p5PY[saga]
2013/01/02(水) 22:44:30.80 ID:Q3TbXfdh0
 スクリーンが内蔵されたガラスであり、
 そこには濃緑色が広がる草原の様子が映し出されていた。
 
 メルヘドの視線を追って行き、エンドクの目も窓ガラスで止まる。
 
以下略



21:三毛猫 ◆E9ISW1p5PY[saga]
2013/01/02(水) 22:45:20.75 ID:Q3TbXfdh0
 「……これ、コップ一杯で何CC?」
 
 「……は?」
 
 「いや、何CC入るの? これ」
以下略



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