過去ログ - ネミッサ「いつかアンタを泣かす」 ほむら「そう、期待しているわ」
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90: ◆sIpUwZaNZQ[saga]
2013/01/07(月) 21:18:24.70 ID:i9eeC+ki0
立ち直ったマミは、泣きじゃくり続けるまどかの肩を抱く。なんでこうも自分が辛い時に彼女は人を慮ることができるのだろうか。気高い優しさ。ネミッサは、マミの友人になれたことを誇らしく思う。そして、その友人に出来ることをしたかった。涙を拭うまどかのためにも、さやかのためにも。
そのためにも、ほむらに向き合う。

「アンタも協力しなさい」

以下略



91: ◆sIpUwZaNZQ[saga]
2013/01/07(月) 21:18:54.52 ID:i9eeC+ki0
ネミッサは業魔殿に行く。

「メアリ、遅くにゴメン」

受付で書類を整理していたのだろう、メアリが顔を上げる。その顔に明確な表情は浮かんではいない。なまじ表情が多くて迷惑そうな顔をされても困るのだが。
以下略



92: ◆sIpUwZaNZQ[saga]
2013/01/07(月) 21:19:53.68 ID:i9eeC+ki0
日付が変わってから見滝原に戻ったネミッサは、音を立てないように静かにマミのマンションに行く。幸い、合鍵を預っていたので静かにドアを開ける。……まぁ、そこに、マミが起きて待っていたわけだが。
傍から見てわかるほど怒っていた。どうもマミはネミッサを過保護に見る傾向にあるのだが、今夜の勝手な夜遊びを待っているとは思わなかった。

「そこに座って」

以下略



93: ◆sIpUwZaNZQ[saga]
2013/01/07(月) 21:20:42.75 ID:i9eeC+ki0
「時間を巻き戻すことができるのが、アンタだけだと思う? アタシもできるんだよ。条件付きでね」

ほむらの表情にはっきりと驚きが浮かぶ。ほむらの頭の中にネミッサが自分と同じ時間遡行者という考えがなかったわけではない。だが、自分の能力の特異性から、その確率が低いと踏んでいた。故に、自分と同じ情報を持つネミッサを一時は敵と認定したのだ。だが、ネミッサにも誰にも未だ時間遡行のことは話していない。それだけでもほむらには充分衝撃だった。

「少し整理する時間をあげる。他の子にはアタシの生い立ちをね。信じてもらえるか、わからないけど」
以下略



94: ◆sIpUwZaNZQ[saga]
2013/01/07(月) 21:21:32.04 ID:i9eeC+ki0
「あ、あの、ネミッサちゃん……、なんで、ほむらちゃんと一緒に戦うの?」

その中でまどかが搾り出すように尋ねる。ほむらが最も聞きたいのはそこだったはずだ。衝撃の中で早く立ち直れた理由は不明だが、困惑した顔でじっとネミッサを見つめる。酷い言い回しをすれば彼女は無関係のはずだ。

「リーダーを助けるどころか、自分の手で殺した話はしたっけ。……それが嫌で、何度も繰り返したのよ。天海市での出来事をね」
以下略



95: ◆sIpUwZaNZQ[saga]
2013/01/07(月) 21:22:41.87 ID:i9eeC+ki0
ネミッサが初めて見滝原に来たのは暦の上では二ヶ月ほど前。流離うように見滝原を目的もなく歩きまわった。そして……あの災害に出会った。その当時は初めて憑依した十八歳の女性の姿をモデルにしていたため、今ほど街を歩くことに問題はなく昼夜を問わず遊び回っていた。
二ヶ月後、それは現れた。巨大な魔力を放つ大きな嵐に興味を持ち近寄ると、黒髪の美少女がいた。
それがほむらだった。
真っ黒な髪と美貌、魔法少女の白と紫、黒の衣装はそれだけで神話から抜けだしたような美しさだった。それがネミッサには知覚できないなにかと戦っていた。拳銃を、重火器を、果ては戦車や戦闘機を繰り出しては嵐の中心に攻撃を加える少女。だがそのいずれも嵐に致命打を与えるには至らなかった。ネミッサが見るに、物理的な運動エネルギーに対し耐性があったように思えた。……つまりほむらには倒すことが困難だということだ。
みるみるうちに傷付くほむら。周りには誰もいない。まどかですら。だが彼女は諦めなかった、怯まなかった。ただただ静かに心を燃やし、嵐に立ち向かった。
以下略



96: ◆sIpUwZaNZQ[saga]
2013/01/07(月) 21:23:53.91 ID:i9eeC+ki0
ネミッサは続ける。知り合い、仲良くなるも魔法少女のことを知らない、知らされないネミッサは徐々に欠けていく友人たちの顛末を知らずに過ごした。マミが失踪し、杏子が姿を消し、さやかの葬儀が執り行われた。
そして、そして、ほむらは孤立した。
ネミッサは嵐に立ち向かうほむらを何度も止めようとした。だが事情も知らないネミッサの言葉をほむらが受け入れるはずがない。また仮に受け入れたとしても、彼女がまどかを諦めることはなかった。故に『何度も』ほむらの死を見届けた。
そのたびに時を巻き戻し、友達となり、失った。
『何度も』マミを救えなかった。
以下略



97: ◆sIpUwZaNZQ[saga]
2013/01/07(月) 21:25:37.24 ID:i9eeC+ki0
ほむらは正直ネミッサに感謝していた。ネミッサの話により、ほむらが一番伝えたくないこと……「まどかとの約束」を言わずじまいになったことだった。それを知れば心優しいまどかのことだ、自分を責めることだろう。それだけは避けたかった。自分のしていることは自分のため。まどかが知り苦しむことはない。悲しませることもない。
そして、ネミッサの行動の真意を知った。自分を友達と思い、純粋に手助けをしようとしてくれていた。自分に憧れるなどと、赤面をしてしまう発言もあったが……、ほんの少しだけ。

(嬉しかった、ありがとう、ネミッサ)

以下略



98: ◆sIpUwZaNZQ[saga]
2013/01/07(月) 21:26:44.29 ID:i9eeC+ki0
しばらくして、いくつも荷物を抱えたネミッサが現れた。今日も日中あちこち回っていたようで、少し疲労の影が見える。
話がついているような空気を察し、準備を行う。

「ネミッサ、上条恭介と志筑仁美が来るとは聞いていなかったわ」

以下略



99: ◆sIpUwZaNZQ[saga]
2013/01/07(月) 21:27:49.96 ID:i9eeC+ki0
結界内に入り込むと、最深部までは何も抵抗がなかった。それが何を意味するかは不明だが、一般人がいるこの状態ではありがたかった。回廊にはさやかの記憶がテレビのように映っている。さやかの視点での上映会に、皆一様に苦しげな表情をしていた。
魔法少女たちは変身している。ネミッサはいつもの服装とは違った。魔晶変化した杖を持ち、何らかの魔力を宿した衣服を着ている。この戦いに対する入れ込み方が段違いだった。
最深部はコンサート会場に似ていた。中央のステージに鎮座するのは下半身が魚の鎧を身につけた騎士。さやかの魔女だ。
さやかを横抱きにしたままの杏子は怒りにも似た顔で睨みつける。手はず通りさやかを横たえると、マミに合図する。それを受けてマミはリボンを展開し、半球形の檻を形成する。その中にはまどかと上条。まどかがなれない手つきで香炉に火をつけると、立ち上がってスマホを握ったまままっすぐ魔女を視る。

以下略



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