過去ログ - ビッチ・2
1- 20
217:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/05/30(木) 22:43:23.72 ID:6lUXOLOBo

「じゃあ、ユキちゃんもうちで奈緒と一緒にピアノを勉強しない? おばさんが教えてあ
げる」

 知り合ってから初めてといっていいくらいに、おばさんの言葉を聞いた奈緒が期待を込
めた明るい表情であたしとおばさんを交互に眺めた。

「あたしがピアノ?」

「そうよ。太田先生・・・・・・ユキちゃんのパパにはおばさんがお願いしてあげる。ピアノっ
て楽しいのよ」

「一緒にピアノの勉強しようよ」

 奈緒があたしの顔を覗き込んで言った。

 それから小学校の低学年の間、あたしは奈緒に付き合ってピアノに取り組むことになっ
た。麻紀おばさんから電話を受けたパパは二つ返事であたしをおばさんに託した。

 最初は奈緒の自宅の防音室で始まったレッスンは、あたしたちが小学校三年になると、
その場所を佐々木先生のピアノ教室に場を移すことになった。

 この頃になると、奈緒はもうあまり暗い表情を見せなくなってた。知り合ったときに彼
女がふと漏らした辛い過去のことを割り切ったのかもしれない。あたしはいつも奈緒と一
緒だった。小学校の高学年になる頃には、お互いに他にこれ以上の親友はいないというほ
どに仲が良かった。

 意外なことに、あたしのピアノは控え目に言っても悪くなかったらしい。もともとピア
ノ教師をしていた麻紀おばさん仕込みの奈緒に勝てるなんて一度だって考えたことはなか
ったのだけど、この頃のあたしのピアノは佐々木先生からだいぶ認められるようになって
いた。

 佐々木先生から音大受験を勧められたのもこの頃だ。あたしはそのとき奈緒ちゃんはど
うするんですかって先生に聞いた。奈緒が音大を目指していると聞いたあたしは迷わずあ
たしも音大を目指しますと答えた。

 多忙なパパと久し振りに会えたとき、あたしはピアニストの道に進みたいとパパに話し
た。小学校六年生のときだった。パパは笑った。

「有希がそうしたいなら、それでもいいんじゃないかな」

「あたし、ピアノが楽しいから。奈緒ちゃんと一緒にピアニストを目指したいの」

「そうか。でも、奈緒ちゃんにはなかなか勝てないんじゃないかな。奈緒ちゃんは両親共
に演奏家でその血を引いているけど、パパは芸術には疎い法律屋だし、死んだママだって
音楽とは無縁だったしな」

「あたしは大丈夫。任せておいて」

 奈緒と同じ道を歩もうとしている興奮からか、久し振りにパパがあたしのことを気にか
けてくれているという安心感からか、あたしはパパに冗談交じりに話しをすることができ
た。

「おまえも大きくなったな」

 ふいにパパがあたしの方を見て微笑んだ。

 あたしはそんなパパに微笑みかけようとしたそのとき、パパの視線がねっとりとあたし
の肢体に絡み付いていることに気が付いた。

「・・・・・・パパ?」

「何でもないよ。何でもない」

 広い家にはそのときパパとあたししかいなかった。

「有希は偉いな」

 パパは囁きながらさりげなくあたしを抱き寄せた。それだけなら父と娘の微笑ましい交
流だったのだけど、パパは抱き寄せたあたしの顎に手をかけて上を向かせた。

「パパ」

「有希はいい子だな。きっとピアノも上手になるよ」

 パパはそう言ってあたしの唇に自分の唇を重ねた。

 その日、あたしはパパによって少女から女に変えられた。普通の子たちよりずいぶんと
早く、変則的な形ではあったけど。


<<前のレス[*]次のレス[#]>>
459Res/688.68 KB
↑[8] 前[4] 次[6] 板[3] 1-[1] l20
このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています。
もう書き込みできません。




VIPサービス増築中!
携帯うpろだ|隙間うpろだ
Powered By VIPservice