過去ログ - 安価でシークレットゲーム5
1- 20
982:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
2013/03/10(日) 12:43:14.45 ID:nQ4y3AGI0
 絵梨果たちにはトイレに行くと言ったが、別にトイレに行きたくなったわけではなかった。少しの間、一人になって考えたかったのだ。淳子のことだ。
 淳子と中学一年の時から、一番仲が良かったクラスメイトは直美であった。もちろん直美は他の友達も大切だったが、その中でも淳子は別格だったのだ。
 直美と淳子は毎日のように一緒に行動を共にしてきた。大好きだったのだ。淳子のことが…。
 だがある時、淳子に彼氏が出来た。塔矢である。
 直美は淳子に彼氏が出来たということはなんら不思議に思ってはいなかった。淳子は積極的で明るくて行動力がある。自分なんかよりもずっと異性に好かれるタイプであることは理解していた。だからいつかこんな日が来るかもしれないと、かなり前から考えたことがあった。
 だが実際にその日が来ると、いくら昔から身構えていたこととはいえ悲しかった。淳子と塔矢が一緒になることに嫉妬しているなどではない。何が悲しかったか。それは淳子と直美の距離が開いてしまったということであった。
 もちろん淳子が、直美のことを嫌いになったというわけではない。ただ淳子が今まで直美と一緒にいた時間のうち大半が、塔矢と一緒にいる時間に変わってしまった。直美はなんだか塔矢に淳子を奪われてしまったように感じたのだ。
 淳子は一番の親友だったのだ。だが淳子が自分から離れていってしまったように感じた直美は当時かなり苦しんだ。
 長い間苦しんだ末、直美はやっと淳子を応援してやれるくらいまで落ち着いた。
 そうだ、親友である自分が、淳子を後ろから支えてやらなければならないんだ。
 それ以来、直美はいつも淳子と塔矢の仲をサポートし続けた。そんな直美に淳子は感謝してくれていたようだった。直美もいつしか、淳子と塔矢の仲が良いと、自分まで嬉しくなってくるように感じるまでになっていた。
 当然だった。親友である淳子が幸せだということは、それは私の幸せでもあるのだから…。
 だから私は淳子が塔矢君の所に行ってしまったことは何ら悲しくはない。ただもう二度と会えないかもしれないという事実が悲しいのだ。
 それは淳子も同じ気持ちだったのだろう。美咲の話では淳子は泣きながら『もう会えないかもしれない。本当にごめんなさい』と言っていたのだ。
 もちろん私は生きている内にもう一度淳子に会いたい。でもそれよりも今の私は、淳子が塔矢君に無事に会えるように祈ってあげることが大切だ。


<<前のレス[*]次のレス[#]>>
1002Res/793.48 KB
↑[8] 前[4] 次[6] 板[3] 1-[1] l20
このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています。
もう書き込みできません。




VIPサービス増築中!
携帯うpろだ|隙間うpろだ
Powered By VIPservice