過去ログ - 安価でシークレットゲーム6
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923:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
2013/08/05(月) 11:08:49.71 ID:868/ISGe0
祖父は週に1,2度、1人で出かける日があった。
行き先は決して教えてくれなかった。
父母に聞いても、関わるな、と言われるだけだった。

その日も、祖父は出かける準備をしていた。
小さな鞄を1つ持っていた。

「今日も行き先は内緒なわけ?」

音哉が玄関で靴を履く祖父に後ろから声をかけると、祖父は笑った。

「秘密を持つ男っつーのはミステリアスで良いだろうが」

「ミステリアスっつー歳かよ」

音哉も笑った。
祖父はよく外来語を使っていた。
今思えば、その理由は何となくわかる。

祖父が靴を履き終わったので、音哉は靴を履かないで玄関に下り、祖父が開いたドアを支えた。

「ジジィ、帰ったら将棋の相手してくれるんだろ?」

「俺の連勝記録を伸ばしてくれんのか、音哉は良い子だなぁ」

「違うっつーの、連勝記録を今日こそ止めてやるの!」

「ははっ、楽しみ楽しみ」

祖父は音哉を軽くあしらい、外へ出て行った。

その時だった。

音哉は目を見開いた。
突然、眼前に散る、紅い雫。
それを撒き散らす、祖父の姿。

「ジジィッ!!」

音哉は祖父に駆け寄った。
そして、見た。
祖父の額に開いた、穴。
そこから流れる、紅いモノ。

な…何がどうなって……

足音が聞こえ、音哉は呆然としながらもそちらを見た。
2人の男が立っていた。
その胸元には、桃のバッヂ――政府関係者の証。

理解した。
祖父は、政府にとって不利益となる活動をしていたのだ。
1人で出掛けていた先は、その関係だ。
父母が祖父に関わるなと言ったのは、政府に楯突いている祖父と関わることで音哉の身が危険に晒されるのを防ぐためだったのだ。

1人の男が近付いてきた。
そして、音哉の方にサイレンサー付きの銃口を向けた。

「お前は何も見なかった、良いな?」

音哉は、頷くことしかできなかった。
ふざけるな、と掴みかかることも、殴りかかることもできなかった。
男たちが去っていく背中を見続けることしかできなかった。
怖かったのだ。
歯向かえば殺されることが、わかっていたのだから。
大好きな祖父だったのに、何もできなかった。


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