過去ログ - 美希・雪歩「レディー!」
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155:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/03/24(日) 02:27:51.69 ID:7LnCOhGJ0
「それからの皆の様子は、どうですか?」
 プロデューサーは、病室の窓の外を見つめる高木の背中へ問いかけた。

「何も心配はいらない。
 アイドルの皆は意欲的にレッスンを行い、律子君や音無君もそれに応えるように全力でサポートを行ってくれている」
以下略



156:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/03/24(日) 02:30:21.92 ID:7LnCOhGJ0
 本来、これ以上アイドルを続けたくないと言っている者に対し、無理矢理連れ戻すような事を行うのは、決して好ましくない。
 美希については、自分の思いだけでなく雪歩の望みもあって行動したが、それも実際はグレーなのだ。
 下手をすると、向こうの両親から訴えられないとも限らない。

 プロデューサーもその辺りは十分に留意し、以前美希の家へ連絡を取った時も、引き戻したいという旨の言葉は使わなかった。
以下略



157:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/03/24(日) 02:31:53.03 ID:7LnCOhGJ0
「―――まぁ、律子君を信じよう。
 さぁ、食べてくれたまえ。音無君ほど上手にできなくてすまないが」
 無骨に切り分けたリンゴを、高木はプロデューサーに差し出した。

 プロデューサーが、恐縮しながらリンゴに手を伸ばそうとした時、高木の携帯が鳴った。
以下略



158:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/03/24(日) 02:33:36.86 ID:7LnCOhGJ0
 スーツ姿の男性が、血溜まりの中にうつ伏せで倒れている。
 その横で、金髪の少女がまっすぐにこちらを見上げている。

 少女の顔は真っ黒に塗り潰されており、表情は分からない。
 しかし、明らかに階段を上った先―――踊り場にいる自分を睨み上げている。
以下略



159:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/03/24(日) 02:34:47.31 ID:7LnCOhGJ0
【8】

「俺は、娘がアイドルになることに初めから反対していた」
 雪歩の父は、律子の目を見据えて言った。

以下略



160:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/03/24(日) 02:36:34.26 ID:7LnCOhGJ0
 萩原家は、足立区の静かな住宅街にあった。

 インターホンを鳴らすと、黒いスーツに身を包んだ坊主頭の若い男が出てきた。
 細身だが、目の鋭い男だった。
 名前と用件を告げると、丁寧に中へ案内された。
以下略



161:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/03/24(日) 02:39:30.53 ID:7LnCOhGJ0
 雪歩の父は、背の高い男だった。
 年齢は50歳前後のはずだが、そんな年には見えなかった。
 肌のつや、身のこなし、そして何よりも引き締まった端正な顔立ちを見ていると、30歳代の前半くらいにも見えた。

 雪歩の父の後ろには、それまで律子を案内していた坊主の男がずっとついていた。
以下略



162:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/03/24(日) 02:41:25.18 ID:7LnCOhGJ0
 フン、と雪歩の父は小さく鼻を鳴らした。
 律子は、目の前の男の一挙手一投足から目が離せなかった。
 いつ、どんなに危険な一振りが繰り出されるか知れなかった。

 その時、入り口の襖がスーッと開いた。
以下略



163:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/03/24(日) 02:44:26.03 ID:7LnCOhGJ0
「俺はあなた方を憎んでいる」
 律子が湯飲みを置いたのを見計らい、雪歩の父が突然切り出した。

 律子は、黙って頷いた。
 内心は、改めて面と向かって言われたことで、さらに緊張が増していた。
以下略



164:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/03/24(日) 02:47:16.41 ID:7LnCOhGJ0
「雪歩さんは――」
 律子は、膝の上に置いた手を握り締めた。

「―――雪歩は、私達の事務所の現状を憂いていました。
 自分が何とかして変えなくてはと、きっと自分にそう言い聞かせ、これまで頑張ってきてくれていたのだと思います」
以下略



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