過去ログ - 美希・雪歩「レディー!」
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16:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/03/23(土) 21:14:01.79 ID:sFFUNv8Z0
「ダンスの練習風景をこの子に見せてあげたいの。一度、通しでやってみせてちょうだい」
 律子の目線は、真と美希の方へ交互に向けられていた。
 三人は元気良く返事をすると、音源をセットし、配置についた。

「真を良く見ていなさい。あの黒いタンクトップの子」
 律子は、美希の耳元にそう告げた。
 美希は曖昧に返し、ボーッと三人のセンターに立つ真の方へ目を向けた。

 曲が始まり、アイドル達のダンスに律子は腕組みをして目を光らせる。
 春香は、昨日言われた事がまだ直っていない。半拍遅れている。
 雪歩は、どうしてもターンが苦手のようだ。
 あと、突然の来客に萎縮しているのか、手の振りもいつもより余計に小さい。

 その一方で、真はさすがの切れを見せていた。
 比較的背は高い方だが、ダイナミックなダンスでそれ以上に体が大きく見える。リズム感も良い。
 持って生まれた資質だけでなく、たゆまぬ努力に裏づけされた実力であることは、プロデューサーも認めるところであった。

 約3分程度のダンスを終えると、律子は三人にそれぞれの課題を告げた。
 だが、その時の表情がなぜか勝ち誇っているようにも見えたため、アイドル達は少し不思議そうに首を傾げながら返事をした。

「さて、どうだったかしら? ウチの子達のダンスは」
 律子は、美希の方へと向き直り、きっと得られるであろう賞賛の言葉を待った。

「すごかったの。特に真クンって人のダンス、すごくカッコ良かったの」
 だから君付けで呼ぶの止めてってば―――素直に喜べない真を尻目に、美希は続けた。

「今のダンス――えぇと、こうきて、こうなの?」
 突然、美希はその場でステップを踏み始めた。
 アイドル達のダンスを見て、少し気が乗ってきたのかも知れない。

しかし、律子が次の瞬間驚いたのは、美希のそのセンスであった。



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