1:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage saga]
2013/04/29(月) 07:30:09.08 ID:IfvVtyDz0
「ぽっぽっぽー、はーとぽっぽー、まーめがほしいかそーらやーるぞー」
日々生活する中で時折、きっかけは何だったのだろうと考えることがある。
幼少時からのものぐさで夢見がちな性格が災いし、大学を出るまでろくに自分と向き合う事なく
生きてきた。それはそれで気楽でハッピーだったし、周りの連中も同じように危機感の無いアホだらけ
のように思っていたのだが、そんな奴らも3年の終わりくらいからやれ説明会だ資格だSPI講座だなどと
そわそわし始めて、俺もここらで一発、奮起しなければいかんなあと思った。思ったのだがいざ現実に
ダイレクトに向き合うとなるとそれはそれできついものがあり、結局俺は周囲の、今まで自分と同じ
もしくは下のランクだと思っていた連中が、次々と社会への切符を手にしていく様を指をくわえて見て
いたのである。その時の俺の表情はむしろ安らかで、おそらくは今、隣で歌う彼女のよう。
どうにか大学を出たものの、親から仕送りを打ち切られて馴染みの女の部屋に転がり込むと、さすがに
大卒のヒモくずれという身分が耐え難くなり、結果、実家の塗装屋を継いだ友人の世話となった。正直
妙なプライドが邪魔をして、今までこうした職人の世界といったものを小馬鹿にしていたのだが、やって
みると意外と楽しく、むかつく事も多々あるがたまの休日にこうして公園で一杯やるくらいの余裕は
出来た。見習いで安いとはいえ、日給制だから出勤したその日に金が貰えたし、現物相手の仕事で
自分の腕の上達する様が目に見えて分かる所にもやりがいを感じていた。これだよ。これが人生だ。
今朝布団の中でふと、鳩は焼き鳥を食うのかしら?という疑問が沸いてそのまま。ついでに一人酒でも
ってんで近所のスーパーマーケットまで歩いてカップ酒、缶入りハイボールと乾き物を適当に購入。
駐車場の片隅で煙をぶんぶんに吐き出している屋台でたれ塩合わせて都合1,000円分の焼き鳥を
見繕ってもらうと、以前家主の女と「花見でもしようか」なんて話題にした事もある、無闇にだだっ広い
公園に足を向けた。そういえば結局、花見の話は立ち消えになったな、なんて思いながら。
2つ並んだベンチの一番左に腰掛け、初夏の日差しで温くなったハイボールを一口飲むと、俺は早速
実験を断念した。
既に俺の周りを鳩が取り囲んでいたからである。
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