過去ログ - 少女「雨が止んだなら」
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118:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/05/25(土) 06:37:36.92 ID:yZQiXNHbo



 灯りに照らされてみて、暖炉の下には想像以上のスペースがあったことに気付かされる。
 目の前に立つ誰かは、わたしの姿を見て一度怪訝そうに眉をひそめた。
以下略



119:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/05/25(土) 06:38:26.48 ID:yZQiXNHbo

 ついていくしかなかった。

「しばらく隠れていなきゃいけないんだろ?」

以下略



120:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/05/25(土) 06:39:28.09 ID:yZQiXNHbo

 男は何の前触れもなく立ち止まった。わたしも立ち止まって距離を取った。
 それから彼は、わたしの方を振り返る。

 射抜くような視線に、わたしは目を逸らした。
以下略



121:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/05/25(土) 06:40:56.86 ID:yZQiXNHbo

「まあ、いいか」

 彼はそう言って溜め息をついたようだった。真っ暗な空間に、声は静かに反響する。
 が、わたしからすれば、ぜんぜんよくない。
以下略



122:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/05/25(土) 06:41:31.20 ID:yZQiXNHbo

 彼は躊躇した様子もなく答える。

「そうだよ。お前の部屋から本を持ち出したのも、それを書庫に戻そうとしてお前と鉢合わせしそうになった間抜けも。
 それから真っ青な顔で階段を降りようとしていたお前に咄嗟に声を掛けたのも、俺だ」
以下略



123:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/05/25(土) 06:44:03.99 ID:yZQiXNHbo

「なあ、俺は別にお前をいじめたいわけじゃない。むしろ逆だよ。本当は」

「……なに、それ」

以下略



124:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/05/25(土) 06:45:32.16 ID:yZQiXNHbo

「まあ、お前の部屋の様子を観察する意味もあった。
 普段はなかなか隙がなかったから忍び込めなかったしな。
 それに、あんまり動きがないから、そろそろ姿を見せてもいい頃だとも思った」

以下略



125:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/05/25(土) 06:47:24.03 ID:yZQiXNHbo

「ねえ」

「まあどっちでもいいか。あとはだいたい想像する通りだと思うよ。それにしたって不健康な場所だ」

以下略



126:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/05/25(土) 06:49:00.53 ID:yZQiXNHbo

 わたしは別に、自分のことを知りたいわけじゃないのだ。そのことに気付いた。
 シラユキと一緒に暮らせれば、それでいい。

 なのにどうして、そっとしておいてくれないんだろう。
以下略



127:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/05/25(土) 06:52:37.29 ID:yZQiXNHbo

 のしかかるような沈黙。わたしは言葉にしたことを少し後悔した。
 けれど結局、彼は穏やかな、諦めたような、傷ついたような静かな声で、

「そうだな」
以下略



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