189:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/05/29(水) 07:00:35.30 ID:wqPpjqSYo
しばらく、部屋の中には何の変化もなかった。雨の音だけがずっと続いている。
気付けばわたしは、本を読むのをやめてツキの方をじっと見つめていた。
やがて彼は、やはり身じろぎひとつせず、顔もこちらに向けないまま、
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2013/05/29(水) 07:01:02.03 ID:wqPpjqSYo
不意に彼は、何かに気付いたように顔をあげた。
それからわたしの顔をじっと見た。何かに驚いているような目だ。
「なに?」
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2013/05/29(水) 07:02:03.62 ID:wqPpjqSYo
「……急に何?」
「前は、レコードだった」
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2013/05/29(水) 07:03:08.41 ID:wqPpjqSYo
◇
ツキはそのようにして、この屋敷での暮らしを続けた。
いなくなる気配もなければ、例の何かを「取り戻す」こともできてはいないようだった。
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2013/05/29(水) 07:04:00.31 ID:wqPpjqSYo
「出口」
ツキは不意にそう言った。
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2013/05/29(水) 07:05:11.48 ID:wqPpjqSYo
◇
ツキがこの屋敷で暮らすようになってからも、わたしは毎夜同じ夢を見た。
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2013/05/29(水) 07:05:39.97 ID:wqPpjqSYo
つづく
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2013/05/29(水) 21:33:13.73 ID:/ba8P3cAO
乙。
全体が見えてこないと中々不気味だ。
外界には二人と同じ人間はいないのか。
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2013/05/29(水) 23:12:17.73 ID:4iSIu9Kro
乙
198:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/05/30(木) 07:22:44.24 ID:IVmmIEuJo
◇
その日の朝、ツキは朝食の時間になっても食堂に現れなかった。
シラユキが部屋を確認しにいったが、やはり姿はなかったという。
199:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/05/30(木) 07:23:12.72 ID:IVmmIEuJo
そう思うと、このタイミングで彼女に言っておかなければならないことが、いくつかあるような気がした。
それがなんなのかは、咄嗟には思い出せなかった。
というよりわたしは、このところずっと、話すべきことをわざと話さずに過ごしてきたような気がする。
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