192:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/05/29(水) 07:03:08.41 ID:wqPpjqSYo
◇
ツキはそのようにして、この屋敷での暮らしを続けた。
いなくなる気配もなければ、例の何かを「取り戻す」こともできてはいないようだった。
193:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/05/29(水) 07:04:00.31 ID:wqPpjqSYo
「出口」
ツキは不意にそう言った。
194:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/05/29(水) 07:05:11.48 ID:wqPpjqSYo
◇
ツキがこの屋敷で暮らすようになってからも、わたしは毎夜同じ夢を見た。
195:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/05/29(水) 07:05:39.97 ID:wqPpjqSYo
つづく
196:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]
2013/05/29(水) 21:33:13.73 ID:/ba8P3cAO
乙。
全体が見えてこないと中々不気味だ。
外界には二人と同じ人間はいないのか。
197:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]
2013/05/29(水) 23:12:17.73 ID:4iSIu9Kro
乙
198:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/05/30(木) 07:22:44.24 ID:IVmmIEuJo
◇
その日の朝、ツキは朝食の時間になっても食堂に現れなかった。
シラユキが部屋を確認しにいったが、やはり姿はなかったという。
199:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/05/30(木) 07:23:12.72 ID:IVmmIEuJo
そう思うと、このタイミングで彼女に言っておかなければならないことが、いくつかあるような気がした。
それがなんなのかは、咄嗟には思い出せなかった。
というよりわたしは、このところずっと、話すべきことをわざと話さずに過ごしてきたような気がする。
200:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/05/30(木) 07:24:00.42 ID:IVmmIEuJo
彼女は思案深げに眉を寄せながら、取り繕うように微笑んだ。
まさか、毒をうたがったわけでもないだろうが。
「どうでしょう。わたしにはよく分かりません。そういったことに関しては、あなたの方が詳しいはずです」
201:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/05/30(木) 07:24:42.15 ID:IVmmIEuJo
今度は、言葉を探すふうではなく、本当に深く考え込んだように見えた。
シラユキが押し黙ると、食堂に雨の音だけが響く。降り続く雨。
この雨だって、いったいいつから降り続いているんだろう?
202:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/05/30(木) 07:25:09.10 ID:IVmmIEuJo
わたしが答えられずにいると、シラユキは言葉を重ねた。
「わたしは、その質問に答えることもできます。それは事実です。
でも、正直いって、あなたがそれを知るべきなのかどうか、わたしにはわかりません。
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