296:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/06/05(水) 05:39:41.39 ID:YX4Y62yro
「わたしは、あなたを丘の下から隔離して、できるだけ街から遠ざけるように行動してきました。
それはたぶん、この選択を迫るためのこと、だと思います。現実を望んだときは、現実に帰れるように。
わたしはその為の保険のようなもの、なんだと思います」
297:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/06/05(水) 05:40:10.59 ID:YX4Y62yro
この世界で暮らし続けること。"永遠"が確定されること。それは現実世界における死を意味する。
理解しにくい、納得しにくい理屈だ。でも要するに、言葉の使い方が違うだけのことなんだろう。
ここから出るか、出ないか。
298:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/06/05(水) 05:40:38.72 ID:YX4Y62yro
その人は根本的に誤解していたのだ。
死を望みながらも、最後の一歩を踏み出さないのは、本心だとか、無意識だとか、そういうものが理由じゃない。
299:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/06/05(水) 05:41:32.40 ID:YX4Y62yro
「じゃあ、あなたは、死にたいんですか?」とシラユキは言った。
「正確に言うと、もう生きていたくない」
300:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/06/05(水) 05:42:35.73 ID:YX4Y62yro
彼女は悲しそうな顔をした。でも、本当にそうなのだ。
もう、全部終わってしまって構わない。
現実はわたしにとって積み上げられた石ころに過ぎない。
301:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/06/05(水) 05:43:05.47 ID:YX4Y62yro
「――シラユキという猫も、あなたにとっては石ころでしたか?」
「……どうだったかな」
302:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/06/05(水) 05:44:02.57 ID:YX4Y62yro
「あなたがここに残ることを決めるというのなら、わたしはそれに従うしかありません」
怒ったような声だった。少し、震えているようにも聞こえる。
わたしの胸は少し痛んだ。どうして痛むんだろう。わたしはほとんど死んでいるのに。
303:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/06/05(水) 05:45:16.79 ID:YX4Y62yro
シラユキは一度深呼吸をした。わたしは何か嫌な予感がした
でも、なぜ嫌な感じがするのか、分からなかった。
何が起ころうとわたしは揺るがない。そのはずだ。だったら、関係ないじゃないか。
304:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/06/05(水) 05:45:48.63 ID:YX4Y62yro
つづく
305:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]
2013/06/05(水) 13:29:23.55 ID:K3xLW0J0O
oh…
306:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]
2013/06/05(水) 22:19:23.64 ID:b25wbvZAO
乙
海辺のカフカの森とか灰羽のグリの街とか憧れる
しかし流9州は嫌だ
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