過去ログ - 少女「雨が止んだなら」
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331:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/06/07(金) 06:05:30.32 ID:UQU3TNtlo

 さっきの分かれ道まで戻る。左側の壁に沿うように進んでいく。

 出口は、ないかもしれない。
 ツキはひょっとしたら、まったく別の手段で屋敷に忍び込んだのかも。

 そう考えると、わたしはどこにも繋がらない通路を延々と進んでいることになる。
 むしろ可能性だけいえば、そう都合のいい道があるとも思えないのだ。

 わたしは急に不安になる。暗闇を懐中電灯の灯りで照らしながら、足だけを動かす。
 
 しばらく進むと、道が右に曲がった。わたしは注意深く進む。
 こんなふうに時間をかけて歩いていて大丈夫なのだろうか。
 ひょっとしたらツキはもうとっくに、街の人々に捕まってしまっているかもしれない。

 それにこの通路は迷路のようなものかもしれない。
 今ならまだ帰ることもできるけれど、この先どんどんと進んで、ちゃんと屋敷に戻れる保証なんてあるのだろうか。
 
 そこまで考えて、また思考が引きずられる。
 飢えて死んだところで、鼠に齧られたところで、わたしはどうでもいいはずだ。 
 



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