321:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/06/06(木) 06:42:29.65 ID:4Z+Lx22no
「地下通路を通って、森に出られそうなら、そのままツキを探すのがいいと思います。
もし危険そうなら、戻ってきてください。別の方法を考えましょう」
安全な方法なんてあるものか、とわたしは思った。多少のことは仕方ない。
322:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/06/06(木) 06:43:13.45 ID:4Z+Lx22no
「お気をつけて」とシラユキは言った。
わたしは頷きだけを返して階段を降りた。
懐中電灯をつける。黴の匂い。こもった冷気。この先に出口があればいいのだが。
323:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/06/06(木) 06:43:52.97 ID:4Z+Lx22no
つづく
324:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]
2013/06/06(木) 20:42:31.53 ID:8JUEutdyo
乙
物語が大きく動いてるな
325:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/06/07(金) 05:58:38.83 ID:UQU3TNtlo
◇
引き伸ばされた棺の中を延々と歩いているような、そんな気分だった。
326:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/06/07(金) 05:59:54.43 ID:UQU3TNtlo
以前ツキが言っていたように、しばらく進むと道がいくつかに分かれていた。
懐中電灯で照らせる限りを照らしてみたけれど、その先に何があるのかは分からない。
どのくらい続いているのかも分からない。本当に暗い。自分がどのくらい進んだのかも分からなかった。
327:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/06/07(金) 06:01:12.04 ID:UQU3TNtlo
パニックになってそこらじゅうを振り向いたせいで、自分が進んでいた方向が分からなくなる。
自分の間抜けさに泣きたくなってきた。
皮肉なことに、再び正確な方向を把握できたのは、鼠が入っていった隙間の位置のおかげだった。
328:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/06/07(金) 06:02:02.92 ID:UQU3TNtlo
気を取り直して、行き止まりの壁の一部を照らしてみると、鉄製の取っ手のようなものがあった。
わたしは少し躊躇したけれど、結局それを掴んだ。
ざらついた埃の感触が嫌で、わたしはまた泣きたくなった。
329:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/06/07(金) 06:03:21.01 ID:UQU3TNtlo
念のため進んで確認してみると、一番奥まったところの天井に取っ手があった。
ためしに叩いてみる。音が軽かったりはしなかった。
取っ手を引いてみたが、ダメだった。今度は押すのだろう。
330:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/06/07(金) 06:04:15.16 ID:UQU3TNtlo
扉を閉めて、地下に戻る。椅子のことはシラユキがなんとかしてくれるだろう。
急いで通路を戻る。わたしが走ると、足元でまた鼠が動くのが見えた。
転びかけて、転んだ先に鼠がいることを想像し、ぞわりとした。
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