332:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/06/07(金) 06:06:44.94 ID:UQU3TNtlo
「どうして、彼を助けたいの?」
不意に、声が聞こえた。わたしはそれを何かの錯覚だと思った。
でも違う。以前にも聞いたことのある声。それはわたしの頭の中に直接語り掛けてきているのだ。
333:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/06/07(金) 06:08:35.69 ID:UQU3TNtlo
通路が再び別れた。まっすぐと、右。わたしは少し迷ったけれど、右に進むことにした。
今度はすぐに行き止まりに出会う。取っ手もすぐに見つかった。
扉の先に階段はなかった。
334:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/06/07(金) 06:09:43.18 ID:UQU3TNtlo
悲しそうな絵だった。空は灰色に歪んでいて、湖面は暗かった。空虚な静寂がこちらにも伝わってくるほどだ。
でも、目を引くのはそうした部分ではない。
肩越しに振り向いているように見える少女の顔の部分は、ズタズタに破かれていた。
335:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/06/07(金) 06:12:24.03 ID:UQU3TNtlo
通路を戻り、右の壁に沿って進む。わたしはさっきの部屋のことを忘れることにした。
ここまでの通路に、迷うような部分はなかった。
ただ鼠と蜘蛛の気配があるだけだ。
336:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/06/07(金) 06:12:59.20 ID:UQU3TNtlo
やがて、懐中電灯のものではない光が、奥から見えた。
わたしは叫びだしたいほどほっとした気持ちになり、そのすぐ後、また不安になった。
どうして、光が見えたりするんだ?
337:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/06/07(金) 06:15:09.73 ID:UQU3TNtlo
光に気を取られながら進むと、靴が不意に突き抜けるような感触に触れた。
不意の冷たさ。足元が土になっていて、そこには結構な大きさの水たまりがあった。
雨が、ここまで降り注いでいた。よく見れば壁の端に穴があけられていて、水を掃くようになっている。
338:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/06/07(金) 06:16:34.24 ID:UQU3TNtlo
やがて、外の様子が見えた。木? 木だ。
わたしは少し不安になった。屋敷の中庭に続いているんじゃないかと思ったのだ。
でもちがった。梯子を昇りきると、そこは森の中だった。外に出られたのだ。
339:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/06/07(金) 06:17:00.38 ID:UQU3TNtlo
つづく
340:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]
2013/06/07(金) 21:37:36.48 ID:zdZ9Ne4tO
乙
341:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]
2013/06/07(金) 22:45:38.10 ID:rbT50rwAO
サイレントヒルのようになってきた
342:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]
2013/06/08(土) 00:36:05.05 ID:jvgBCplAO
乙です
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