352:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/06/08(土) 06:25:01.66 ID:Onzl2ZvFo
猫は常にわたしの少し前を歩いた。
わたしが立ち止まると、当然のようにその場で待っていた。
それは考えるまでもなくおかしな話だ。
嫌な予感とはいかないまでも、何か変なことに巻き込まれている自覚はあった。
いくらここが奇妙な世界だからって、こんなことが尋常な事柄であるはずがない。
まるで人の意を解しているかのようにふるまう猫。
……でも、どうなのだろう。
わたしには世界のことがよく分からない。
もうどうでもいい、という気もした。
とにかくわたしは、無心になって猫を追いかけた。
追いかけているうちにわけが分からなくなってきた。
ツキを探しにきたはずなのに、猫を追いかけている自分。
森の中はまるで、時間の流れから切り離されているように静かだった。
この先に何かあるんだろうか? それとも、単なる動物の気まぐれにすぎないのか。
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