353:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/06/08(土) 06:25:33.50 ID:Onzl2ZvFo
やがて、猫は立ち止まった。
わたしは少し不安に思ったけれど、それを追いかける。木々の隙間から水の音が聞こえた。
猫の傍らまで歩み寄ると、そこが開けた空間になっているのが見えた。
354:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/06/08(土) 06:27:24.67 ID:Onzl2ZvFo
そうやって泉を覗き込んでいるとき、不意に、水面に自分の顔が映っていることに気付いてぞっとする。
水面に映る自分と、目が合った気がした。
凍てつくような目。誰とも知れない他人のようだった。
355:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/06/08(土) 06:27:52.93 ID:Onzl2ZvFo
つづく
356:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]
2013/06/08(土) 08:00:03.65 ID:BuuOkqlOo
いいところで
357:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]
2013/06/08(土) 09:17:18.00 ID:bRF+ui+DO
不思議の国のアリスにでもなってしまった気分だ…
358:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]
2013/06/08(土) 11:20:56.80 ID:jvgBCplAO
不穏だ
359:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]
2013/06/08(土) 15:32:07.78 ID:9aggytPbO
乙
360:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/06/09(日) 07:02:59.45 ID:Z1eyICRMo
長い時間、ツキの顔を見ていなかったような気がした。
でも、それは真実ではない。朝、ツキと別れてから、まだ三時間と経っていないはずなのだ。
わたしは自分の心がいくつかに分かれるのを感じた。というより、"分かれている"のを感じた。
361:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/06/09(日) 07:05:47.78 ID:Z1eyICRMo
雨音がふたたび強まった。泉の水面が波立つ。
咄嗟には、何も言えなかった。
わたしも何も言わなかったし、彼も何も言わなかった。
362:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/06/09(日) 07:07:03.39 ID:Z1eyICRMo
「……あなたを探しに」
わたしがそう答えると、彼は怪訝そうな顔になった。
それから少し間を置いて、ばからしいと言いたげに笑う。
363:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/06/09(日) 07:08:43.16 ID:Z1eyICRMo
「それで、俺が逃げてるとしたら、お前は何しに来たんだ?」
ツキは皮肉っぽく唇を歪める。
わたしは段々不安になってきた。
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