5:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/05/18(土) 07:55:13.20 ID:0FhXK3hqo
きしきしと音が立つような寒さの中、まだ薄暗い厨房で、彼女の立ち姿はいつもより頼りなく見えた。
厨房の入口で立ち止まったわたしに気が付くと、シラユキはふわりと笑う。
「おはようございます。まだ、寝ていても大丈夫な時間ですよ」
彼女はわたしを主人として扱うけれど、堅苦しい敬語はあまり使わない。
こちらとしてもそれは望むところで、あんまり生真面目な話し方をされると肩を凝ってしまう。
「いつもより早く目が覚めたから」
おはよう、と挨拶を返してからわたしがそう言うと、彼女は意外そうな顔で微笑んだ。
ふわふわとした笑顔。わたしはその笑顔を見るたびに、なんだかくすぐったいような気持ちになる。
「珍しいですね。そういう日もあるってことなんでしょうか」
鍋に向かう彼女に近付いて、わたしは何も言わず、その背中に抱きついた。
背丈はだいたい同じくらい。
声や表情にあどけなさはあるけれど、歳だって、同じくらいだと思う。
それなのに彼女のからだは、ふかふかとして気持ちがいい。
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