6:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/05/18(土) 07:55:41.79 ID:0FhXK3hqo
「なんですか、急に?」
シラユキは戸惑った風な声音で言う。
後ろから抱きついているせいで顔が見られないことを、わたしは少し残念に思った。
7:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/05/18(土) 07:56:08.03 ID:0FhXK3hqo
「そんなこと言わずに、味見させてよ」
「……かまいませんけど」
8:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/05/18(土) 07:57:47.33 ID:0FhXK3hqo
◇
屋敷には大きな姿見があるから、わたしは自分の姿をちゃんと確認することができる。
わたしの髪は真っ黒にくすんでいて、瞳も焦茶色に近いが、ちゃんと確認しないと黒っぽくしか見えない。
9:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/05/18(土) 08:01:08.68 ID:0FhXK3hqo
この屋敷に来たのがいつだったか、正確には思い出せない。
つい最近だという気もするし、ずっと前だという気もする。どうもはっきりしないのだ。
というよりわたしには、そんなに昔のことがよく思い出せないのだ。
10:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/05/18(土) 08:02:26.92 ID:0FhXK3hqo
◇
「最近、嫌な夢を見るの」
11:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/05/18(土) 08:03:54.12 ID:0FhXK3hqo
昼になれば少しは暖かくなるけれど、この街の朝は、凍えそうに寒い。
けれど、この張りつめたような冷たい空気が、わたしは嫌いではなかった。
「誰かがわたしの名前を呼んで、どこかに連れて行こうとするの」
12:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/05/18(土) 08:05:15.81 ID:0FhXK3hqo
「その人は、何かを言っていたんですか?」
「分からないけど、"駄目だ"って」
13:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/05/18(土) 08:06:07.05 ID:0FhXK3hqo
その声をきいて、わたしはようやく安心した。
最初から、気にするような夢じゃないと、そう笑い飛ばしてくれれば、わたしはそれでよかったのだ。
「でも、夢は夢ですから」
14:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/05/18(土) 08:07:37.82 ID:0FhXK3hqo
屋敷で生活していると、ときどき無性に寂しいような、悲しいような気持ちに襲われることがある。
なぜなのかは分からない。いったい何がそうさせるんだろう。
シラユキが作ってくれる食事はとても美味しい。
15:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]
2013/05/18(土) 08:08:06.06 ID:0FhXK3hqo
つづく
16:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]
2013/05/18(土) 08:21:26.12 ID:XJzHZwYD0
がんば
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