過去ログ - 魔法使い「勇者がどうして『雷』を使えるか、知ってる?」
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36: ◆1UOAiS.xYWtC[saga]
2013/05/23(木) 00:28:57.36 ID:4RdAMvYao
小瓶に集められた『雫』を、魔法使いが振り撒く。
世界樹の恵みを凝縮した奇跡は三人へと降り注ぎ、全ての痛みと傷とを泡雪のように消し去った。
意識を取り戻した僧侶も立ち上がり、全ては、開戦前の状態へと巻き戻され。

――――出し惜しみ無し、全員全力、全身全霊の総攻撃。
――――『叛撃』の準備を整える。

魔法使い「二人とも――――全力よ。いいわね?」

戦士「ここで、か」

僧侶「……今使わねば、ならないのですね」

魔法使いと僧侶が、同時にエルフ族の霊薬を仰ぐ。
数百の薬草と数十の霊草、数千年の秘術を用いて精製された、伝説の魔力回復薬。
一本入手するだけでも小国が消し飛ぶほどの財を傾けなければならない霊薬が、二本。
二人の体に失った魔力が漲り、その双眸からも魔の輝きが溢れ出す。
吐息までも呪文と化してしまったかのような、超回復が起こる。
肉体は――――極限まで張り詰めた魔力の坩堝と化した。

一息を挟んで、戦士へと強化呪文が注ぎ込まれていく。
攻撃力増加、防御力増加、速度増加。
どの呪文の消費魔力も、何の問題でも無い。
戦士は、甲冑すら窮屈に感じる程に昂る肉体を、押さえつける。

筋肉が鋼のように盛り上がり、盾と剣を握り潰してしまいそうに感じて、無意識に力を緩めた。
その反面、身体は嘘のように軽い。

魔法使い「そう。……『使う』わよ。今。ここで!」

黙して、三人は武器を構え――――目を閉じ、集中する。
魔力の霊薬をも、強化呪文の重ねがけをも上回るほど、闘気が高まり、大廊下に一度は蔓延った
諦観の空気を、遠くへ追いやる。

そして――――三人の体から、紫炎が発せられた。


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