過去ログ - 恵美「もしも魔王の正体に気づかなかったら」
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[sage]
2013/05/24(金) 17:15:32.47 ID:raX+wY0oo
真奥「ちょっと待っててくれ。今同居人と話してくるから」
恵美「う、ん」
結局私は、彼のアパートまで付いてきていた。
ヴィラ・ローザ笹塚。名前は豪華だが、正直オンボロと言っていい風体だった。
最近頻発している地震で崩れていないのが不思議だ。
階段は錆びており、貞夫の部屋がある二階に上がる際に転びかけた。
……私は何をしているのだろう。
さっき勇者としての不甲斐なさを痛感したばかりなのに、
また一般人の彼に迷惑をかけようとしている。
だが私を誘った彼の表情と口調は、純粋に私の心配をしてくれていると
はっきり分かるもので、それにすがってしまったのだ。
思えば人に甘えることなど、十二まで父にしていた以来一度もなかった。
自分で思っていたよりも私は小さく、弱い人間だったのだろうか。
部屋のドアが開いた。
***
芦屋「こんばんは、真奥の友人の芦屋四郎と申します。大変な目に遭われたそうですね」
恵美「こんばんは、遊佐恵美です。この度は本当に……ご迷惑をおかけします」
芦屋「いえいえ、お気になさらず。どうぞ座って下さい」
そう笑いかけてきたのは、長身に細身の美形だった。
エプロンが似合い、貞夫と私の飲み物を用意するその姿は、確かに家事が手馴れている様子だ。
部屋は建物の外見から想像できる通りの安普請ではあったが、
きちんと片付いており掃除も行き届いている。
芦屋さんのマメな性格が想像できた。
真奥「芦屋、このタオル洗ってあるよな?」
芦屋「ええ、大丈夫です」
恵美「……芦屋さん、貞夫とは敬語で話すんですか?」
真奥「んー、実はフリーターになる前まで、ちっちゃい会社をやっててな」
芦屋「そのとき真奥の秘書のような役割をやっていまして。癖が抜けないというわけです」
知らなかった。そういえば貞夫から昔の話は聞いたことがない。
そこまで考えて、まだ彼と出会ってから二日しか経っていないことに思い当たる。
この二日で、びっくりするくらい私と彼の距離は縮まっている。
それは反省すべきことでもあり、やっぱり嬉しいことでもある。
……きっかけの一つが魔王の襲撃であることが腹立たしくはあったが。
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