過去ログ - 八幡「徒然なるままに、その日暮らし」
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◆/op1LdelRE
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2013/06/29(土) 23:43:57.34 ID:DC09rvNV0
「な、何の話?」
「ん? 比企谷くんに出会ったのは雪乃ちゃんが先だったでしょ? それはわたしが勝手に手を出すわけにはいかないじゃない」
「だから何を言っているの? 姉さん、意味が分からないわ」
「そんな難しい事言ってるかなぁ? さっきも言ったけど、わたしと比企谷くんがこの先どうこうなることは多分ないよ? でも、出会いが少し違ってたらどうだったかなーって、ちょっと思っただけ」
以下略
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◆/op1LdelRE
[saga]
2013/06/29(土) 23:52:06.13 ID:DC09rvNV0
「ま、仮定の話なんて大して意味も無いんだけど。でも、もし比企谷くんがわたしと先に出会ってたら、わたしを先に知っていたら――もしかしたら、わたしの隣が比企谷くんの居場所になってたかもね。だってこーんな楽しい男の子、きっと手放さなかったと思うし。あ、もしかしたらちゃんと矯正もできてて、今頃凄く綺麗な目になってたりして。ふふ……」
心底愉快そうな陽乃さんに対して、雪ノ下は気圧されたように固まってしまっている。
何かを言おうとして、けれど言葉にすることができず、結局黙り込んでしまう。
ついさっきまでの冷たい空気が、実は春の陽気だったのではないかと思うほどに、今の二人の間の空気は冷たく凍てついている。
以下略
271
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◆/op1LdelRE
[saga]
2013/06/30(日) 00:00:29.78 ID:ChvAzoBW0
その言葉は。その真意は。
傍で聞いてるだけの俺にさえ、よく伝わってきた。
それは他でもない、雪ノ下へのあまりに露骨な挑発だ。
すなわち――自分がその立場なら、きっともっと上手くやれている、と。
以下略
272
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◆/op1LdelRE
[saga]
2013/06/30(日) 00:07:12.82 ID:ChvAzoBW0
「……」
「ふふ、じゃあお邪魔虫になっちゃうのも何だし、お姉ちゃんはここでさよならするね」
そして、そんな陽乃さんからのあからさまな挑発に対して、雪ノ下は無言だった。
言葉も無く、動きも無い。見えないけれど、きっと表情も。
以下略
273
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◆/op1LdelRE
[saga]
2013/06/30(日) 00:16:34.54 ID:ChvAzoBW0
って、本当にこんな状況で立ち去るの? 散々自分の妹をボコっておいて? あなたマジで鬼ですか?
思わず立ち上がりかけたところで、しかしその動きを制するように、陽乃さんがこちらに視線を寄越してきた。
睨まれた訳でもないのに、思わず息を呑み、俺も動きを止めてしまう。
陽乃さんはやはり、俺に対してもにっこりと微笑んで見せる。
以下略
274
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◆/op1LdelRE
[saga]
2013/06/30(日) 00:26:36.29 ID:ChvAzoBW0
「……」
「……とりあえず、座ったらどうだ?」
少しして気を取り直し、無言で立ち尽くしていた雪ノ下に声を掛ける。
口撃の矛先がこちらに向かってくることも想定していたけれど、さっきまでの怒気はどこへやら、黙ったまま大人しく席に腰を下ろす雪ノ下。
以下略
275
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◆/op1LdelRE
[saga]
2013/06/30(日) 00:46:12.33 ID:ChvAzoBW0
「あー、その、何か飲むか?」
「……いいえ、必要ないわ」
「そうか、なら仕方ないな」
短いやり取り。
以下略
276
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◆/op1LdelRE
[saga]
2013/06/30(日) 00:52:43.97 ID:ChvAzoBW0
「それで、実際のところはどうなの?」
「実際のところって?」
「どうして姉さんと二人きりで会っていたのかと聞いてるのよ、言われなくても察しなさい。前後の文脈からこの程度のことすら類推できないなんて、それで本当に国語の成績が良いの?」
「前段だけで良いだろ、それ――まぁとにかく今日のことなら、小町をダシに使われて呼び出されたってだけだよ」
「呆れた。あなた本当にどうしようもないわね、それじゃ小町さんの名を騙られたら簡単に詐欺に遭うわよ」
以下略
277
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◆/op1LdelRE
[saga]
2013/06/30(日) 00:59:38.89 ID:ChvAzoBW0
だけど、違う。
こんな感情が抜け落ちたような、気の抜けた炭酸のようなやつじゃないのだ、俺の知る雪ノ下雪乃という女は。
最後の台詞のようなあからさまな突っ込み所を見逃すなんて、普段のこいつならあり得ない。
いつもならきっと、それこそ嬉々として罵ってきたはずだ。見下げ果てたシスコンとか何とか。
その前の罵倒だって、今一つキレがなかったし。
以下略
278
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◆/op1LdelRE
[saga]
2013/06/30(日) 01:07:29.79 ID:ChvAzoBW0
「……姉さんの、言う通りかもしれないわね」
「は? お前何言ってんの?」
「姉さんはいつだって、私より優れていた。奉仕部で関わってきた事柄も、それこそ姉さんならもっと綺麗に上手く解決できていたはずよ。あなたのことだって、きっと……」
「そんなの言い出したら切りが無いだろ。そもそも現実そうなってないんだから、そんな仮定なんて無意味だよ。奉仕部の部長はお前だし、事態の解決に尽力してきたのもお前だ。誰もそれを否定はできねぇよ」
「そうね、もう否定も変更もしようがないわ。でも、だからこそ考えてしまうのよ。もし私ではなく姉さんだったら――って」
以下略
279
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◆/op1LdelRE
[saga]
2013/06/30(日) 01:16:03.24 ID:ChvAzoBW0
一体何度その高い壁に挑んで、そして何度跳ね返されてきたのか――今までの話から考えて、その回数はきっと数えるのも馬鹿らしいほどに多く。
そして同時に、越えられたことは、一度としてないのだろう。
だから今も、こんなに心揺らされてしまっているのか。
あり得ない前提に、しかしあり得た場合の未来を想像してしまって。
以下略
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