過去ログ - モバP「七人目の正直」
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8: ◆m03zzdT6fs[sage saga]
2013/06/12(水) 03:24:56.04 ID:XCXUAY/Ho
 俺のまくしたてるように、慌てふためく姿を見て、彼女は少し愉快そうに笑う。一方の俺はきょとんとした顔だ。変な人と思われたのかもしれない。少し、いやかなりがっついてしまっていた可能性が、否定しきれない。

『あ、えっと、どうかしたのか』

「ふふ、面白い方と思って。そんなにあわてなくても、私は逃げませんよっ♪」

 優しげな笑みを浮かべて、俺の方を見てくる彼女は、どこか穏やかで、神々しいような雰囲気を纏っていた。一瞬、はっとして目を奪われる。次いで、安堵が訪れる。

 いやいや、いけない。これではいけないぞ、俺。とばかりに、ペースに飲まれない様に少し頭を振ったその時、彼女の声が聞こえてくる。

「鷹富士茄子、ですよー」

『……は?』

「私の名前です、縁起のいい名前でしょ? 鳥の鷹に、富士山の富士、お野菜の茄子で茄子ですー♪ ナスじゃなくてカコですよー?」

『あ、ああ。ありがとう、ええと、茄子さんか。……すごい名前だな』

「でしょーっ? 私、運の良さにはすっごく自信があるんです」

 とても楽しそうに、彼女は笑う。確かにどこか、彼女の笑みには縁起の良さを感じさせられる。実際、本当に運がいいのだろう。そんな不思議な説得力があった。

 ただ、こんな寂れた神社で、今までほとんど人とも会わなかったのに、そこでとてつもない逸材と出会った俺の方が、運が良いだろう。

 運の良さ、という意味では、俺の方に軍配が上がるんじゃないか。何せ、この邂逅は彼女にとっては、不運なことかもしれないのだから。



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