128: ◆.g97gKoujg[sage saga]
2014/05/29(木) 12:47:16.26 ID:XxNTUaYr0
ひとしきり話終えた吾妻は杖を手に立ち上がった。
「年寄りの長話に付き合わせてしまいましたな。お出かけするのでしょう?」
マリアヴェルは災妖から土地を護り、吾妻の家は世間の目を隠すための塒(ねぐら)を提供しサポートする……そんな関係が長い年月代重ねで続いてきたという。
それは凉一には想像もつかない時の永さと信頼関係なのだろう――
「凉一さん」
礼を言い外へ向かおうとする凉一を吾妻が呼び止める。
「御館様を宜しくお願い致します」
深々とお辞儀をする老人に凉一は曖昧な返事をして門を潜り出るが、その胸に小さな疼きを覚えた。
凉一の心をチクリと刺すのは『後ろめたさ』という名の針だった。
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