63: ◆.g97gKoujg[saga sage]
2013/07/11(木) 00:42:36.92 ID:4A3NuMMt0
「……出血のわりには大した怪我ではないな……少々傷痕が残るかもしれないが」
「……ッ!」
少年の腕を弄くりまわして骨や筋、神経に異常がない事を確認したマリアヴェルは、彼が唇を噛んで痛みを堪えているのが気になった。
「先刻までわんわん泣いていたくせに……痛いなら痛いと言え。私には判らんぞ」
「……グスッ、めーわくかけれないから……」
マリアヴェルは『何を今更』と少年の肘に口を付け流れる血を舌で舐め取ると、少年は顔を赤くして慌てた。
(これくらいは役得だろう)
砂利混じりだが久し振りに口に含んだ新鮮な血の味は、マリアヴェルを酩酊した様な感覚に陥らせる。
「お姫さま、助けてくれてありがとう」
手当てを受けてお辞儀をしながら礼を言う少年に、マリアヴェルは小さな悪戯心が芽生え始めていた。
色々とひどい目に遭ったんだ。ちょっとくらいの仕返しは良いだろう――と。
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