96: ◆.g97gKoujg[saga sage]
2013/09/26(木) 22:03:14.93 ID:bVAs7jj10
「……そろそろか」
そう呟く茨木に凉一は何が『そろそろ』なのか尋ねようとしたところで、自分の折れた指に強い違和感がある事に気付いた。折れた指が異様に熱いーー。
中指の腫れが引きどす黒い痣がみるみるうちに小さくなっていく。人差し指にいたっては既に元通りになっていた。
「なんだ……これ?」
熱が引いた頃には身体の芯まで響いていた痛みは無くなり、多少突っ張るものの折れたはずの指を滑らかに動かしながら、凉一は信じられない物でも見るように自分の指を眺めて呆然とした。
「人差し指は治っていたのか? やはり貴族の血を賜ったせいか……思ったよりも再生が早いな」
「なんだ……なにが? 何が起きたんだ……」
「それが瀕死の重傷から回復した理由だ」
巻き戻し再生動画を観ていたような気分だった。まさしく異常な事態に凉一の混乱は深まるばかりだ。
「理由……って、解んないよ! ボクの身体はどうなっているんだ!?」
「それが『血のチカラ』の一端だよ……凉一」
凉一の悲鳴にも似た問いに答えたのは茨木ではなく開いたドアの隙間から顔を覗かせるマリアヴェルだった。
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