95: ◆.g97gKoujg[saga sage]
2013/09/26(木) 21:57:13.79 ID:bVAs7jj10
大きく腫れ上がった二本の指は内出血でどす黒く変色していた。熱をもった痛みと理不尽な目に合う屈辱感からか凉一の目尻から涙が溢れてくる。
茨木は腕を緩めて凉一を解放した。
「……痛いか?」
「当たり前だろ!? ふざけんな!!」
「騒ぐなと言っているだろうに……」
凉一は折られた指を庇いながらありったけの敵意を込めて茨木を批難したが、当の茨木はどこ吹く風のように凉一の罵声を聞き流している。
そんな茨木に蹴りでも入れてやりたい思いの凉一だったが、酷く痛む指達のせいで脂汗を垂らしながら蹲(うずくま)るのがやっとだ。
そんな凉一を見下ろしながら茨木が語りかける。
「別にお前を痛めつけるのが目的ではない……まあ、中指まで折ったのはちょっとした腹いせだがな」
(こ、この野郎!)
声を圧し殺しながら蹲ってどれくらい経ったのだろうか? 実際のところ三、四分ほどの時間が息の詰まるような苦痛のせいで、凉一には十五分、二十分にも感じられた。
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