1: ◆bsVOk5U9Es[saga]
2013/07/10(水) 22:33:05.13 ID:cQFsek9Mo
アイドルマスターシンデレラガールズより藤原肇のSSです
書き溜めあり。完結まで五千字程度
地の文をつけるのは初めてですがよろしくお願いします
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2: ◆bsVOk5U9Es[saga]
2013/07/10(水) 22:36:05.22 ID:cQFsek9Mo
はぁと思わず溜息をついてしまう。
垂らした釣り糸は時折風に靡くだけで後は静かなものであった。
昼過ぎから釣りを始めたものの、数時間経った今も釣果はなし。
河岸が悪い訳でもない。
3: ◆bsVOk5U9Es[saga]
2013/07/10(水) 22:37:21.83 ID:cQFsek9Mo
どうにもままならない。
ここの所、何となく上手くいかないことばかりであった。
学校へ行けば教科書を忘れ、ろくろを回せば酷く歪になる。
4: ◆bsVOk5U9Es[saga]
2013/07/10(水) 22:39:54.97 ID:cQFsek9Mo
「釣れますか。」
見れば男が釣り支度をして立っていた。
年の頃は二十六、七。短く揃えられた髪は黒く、乱れもない。
5: ◆bsVOk5U9Es[saga]
2013/07/10(水) 22:43:07.28 ID:cQFsek9Mo
「君、釣りは好きかい?」
「はい。趣味の一つです。」
6: ◆bsVOk5U9Es[saga]
2013/07/10(水) 22:46:12.03 ID:cQFsek9Mo
「お仕事は、東京でされてるんですか?」
「うーん、一応はそうかな。イベントの度に地方に出向いたりはするけど。」
7: ◆bsVOk5U9Es[saga]
2013/07/10(水) 22:49:34.95 ID:cQFsek9Mo
「そう。昨日は小さいながらもライブイベントだったんだよ。知ってるかな? トライアドプリムスって。」
「知ってます。最近売り出し中だって、クラスの子たちが話していました。」
8: ◆bsVOk5U9Es[saga]
2013/07/10(水) 22:51:29.93 ID:cQFsek9Mo
そう私が言うと、彼は目に見えて安堵の表情を浮かべる。
歳を気にするのは女性だけど思っていたばかりに、少しながら意外であった。
「そうだよなぁ。俺もまだまだイケる歳だよな! いや、普段接する相手が相手だからさ。正直少し気にしてたんだよね。
9: ◆bsVOk5U9Es[saga]
2013/07/10(水) 22:52:52.68 ID:cQFsek9Mo
「君、歳はいくつ?」
そんな取るに足らない事を考えていると、男性から声がかかる。
10: ◆bsVOk5U9Es[saga]
2013/07/10(水) 22:54:47.66 ID:cQFsek9Mo
「会えるなら、会ってみたいですけど大丈夫なのでしょうか。」
「君なら問題はない。」
11: ◆bsVOk5U9Es[saga]
2013/07/10(水) 22:56:59.13 ID:cQFsek9Mo
「何が駄目なんでしょう?」
「うん? ああ、口説き文句だよ。」
12: ◆bsVOk5U9Es[saga]
2013/07/10(水) 23:00:25.39 ID:cQFsek9Mo
「あれで、ですか?」
「うん。あれで。」
13: ◆bsVOk5U9Es[saga]
2013/07/10(水) 23:02:28.20 ID:cQFsek9Mo
「取り敢えず置いとこう。この話は何だか胸が痛いや。それでどうだい? アイドルに興味はないかい。」
「えっと、それは……。」
14: ◆bsVOk5U9Es[saga]
2013/07/10(水) 23:04:05.24 ID:cQFsek9Mo
「私なんかじゃ、きっと届かないと思います。」
「いや、届くさ。君なら問題はない。黒髪が綺麗だ。スポットライトに映える。
透き通った声をしている。舞台上で美しく響く。物腰が柔らかだ。皆に癒しを与えられる。
15: ◆bsVOk5U9Es[saga]
2013/07/10(水) 23:05:46.18 ID:cQFsek9Mo
「でもレッスンだって、無償という訳ではないでしょう。」
「痛いとこつくなぁ。本当なら全額事務所で持つと言いたい所なんだけど。
うちの所だと頑張って七割負担が精一杯だ。それなら実際に払って貰うのは月々三万といった所か。」
16: ◆bsVOk5U9Es[saga]
2013/07/10(水) 23:07:29.86 ID:cQFsek9Mo
不意に強い風が吹いた。風のざわめきに小鳥たちが囀りを始める。
木々が揺れ、新緑鮮やかな葉が数枚ひらひらと舞う。
優雅に、淀みなく、たおやかに。
するりと葉先が水面につくと、お辞儀をするかのように静かに倒れ、川の流れに乗っていった。
17: ◆bsVOk5U9Es[saga]
2013/07/10(水) 23:08:35.39 ID:cQFsek9Mo
電子音が辺りに響く。どうやら彼の携帯電話らしく男は席を外す。
流れ出るメロディーはNever say never。トライアドプリムスの一人、渋谷凛の曲だ。
アイドルになるのは一種の賭けだと男は言った。
18: ◆bsVOk5U9Es[saga]
2013/07/10(水) 23:11:31.81 ID:cQFsek9Mo
「途中で外しちゃって悪かったね。」
「いえ、大丈夫です。」
19: ◆bsVOk5U9Es[saga]
2013/07/10(水) 23:13:22.77 ID:cQFsek9Mo
それじゃあ、東京で会えることを楽しみにしているよ。
そう言い残して男は去って行く。彼の言う通りこれもきっと何かの縁なのだろう。
陶芸家を継げと、おじいちゃんは日頃から言う。
20: ◆bsVOk5U9Es[saga]
2013/07/10(水) 23:14:42.52 ID:cQFsek9Mo
終わりです
次はもっと良いのが書けるように肇ちゃんをペロペロしてきます
21:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]
2013/07/10(水) 23:41:08.75 ID:kcofdLKYo
スレタイが人を惹かないのかねえ
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