過去ログ - 文才ないけど小説かく(実験)4
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787:You Wandering In The Teacup (お題:紅茶の香り)  2/10 ◆/xGGSe0F/E[saga sage]
2013/10/23(水) 02:49:30.65 ID:KgQvzn720

 午後八時。
 今日は思ったよりも早く、仕事に一区切りつけることが出来た。
 書類の作成も終わり、私は部長や後輩に声をかけてから、帰宅をすることにした。
 会社のある駅から電車で三駅分。私の住む町はこんなにも近くなのに、二週間も帰らないだなんて、思えば不思議な感じ
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788:You Wandering In The Teacup (お題:紅茶の香り)  3/10 ◆/xGGSe0F/E[saga sage]
2013/10/23(水) 02:51:11.81 ID:KgQvzn720

 七階に上がって自らの部屋の前に立っても、やはり灯りは点いたままだった。私の見間違いでもなく、リビングとダイニ
ングの灯りがそこに灯っている。表札も、間違いなく【稲葉】と言う私の苗字が記されていた。
 どうしよう、やはり警察に連絡するべきだろうか。
 どうしていいか分からずに、私が部屋の扉の前で無防備に迷っていると、いきなり扉のノブが音を立てて回されるのが分
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789:You Wandering In The Teacup (お題:紅茶の香り)  4/10 ◆/xGGSe0F/E[saga sage]
2013/10/23(水) 02:52:13.94 ID:KgQvzn720

「いただきます」
 私がそう言うと、女はきらきらとした瞳で、私の事をじっと見て微笑んだ。
「うんっ、召し上がれ!」
 なんだか食べづらい。
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790:You Wandering In The Teacup (お題:紅茶の香り)  5/10 ◆/xGGSe0F/E[saga sage]
2013/10/23(水) 02:53:18.56 ID:KgQvzn720

 そんなことを考えながら夕食を咀嚼していると、インターホンの音が甲高く鳴らされるのが聞こえた。
「はいはーい」
 凛と名乗った彼女は、パタパタとスリッパを鳴らしながら、玄関へと向かった。まるで私の妻として当然の義務みたいにして。
そしてすぐに玄関から、女性同士の姦しい声が聞こえてきた。
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791:You Wandering In The Teacup (お題:紅茶の香り)  6/10 ◆/xGGSe0F/E[saga sage]
2013/10/23(水) 02:54:16.15 ID:KgQvzn720

 そっと私から離れた彼女は、囁くように私の耳元で喋った。
「お風呂入れてくるから、ちょっと待ってて。あ、薬箱の位置は変えてないから、早め頭痛薬飲んだ方が良いと思う。あと、
まーくんの好きな紅茶、入れてあげるから。今日は蜂蜜も入れてあげるね」
 私は目を瞑り、うとうととしながら、彼女の柔らかくたおやかな声を聴いていた。椅子にもたれたまま、先程の心から安
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792:You Wandering In The Teacup (お題:紅茶の香り)  7/10 ◆/xGGSe0F/E[saga sage]
2013/10/23(水) 02:55:01.02 ID:KgQvzn720

 そんな唐突に変わった生活が、三年ほど続いたころ。異変が起きた。
 この生活になってから、是が非でも仕事を切り上げて毎日家に帰るようになっていたから、その日も私は午後十時に家へ
と帰りついた。
 そして扉を開けて、中へと入る。夕食の香りと、彼女特有の紅茶の香りが、私の家特有の匂いとして、鼻をくすぐってくる。
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793:You Wandering In The Teacup (お題:紅茶の香り)  7/10 ◆/xGGSe0F/E[saga sage]
2013/10/23(水) 02:55:43.06 ID:KgQvzn720

 妻の姿が見えなくなってから、さらに七年後。
 妻がよく咳をするようになった。体調が悪いと訴えるようになった。私は妻を励ますが、しかし妻の体を撫でさすってや
ることも、抱きしめて慰めることも出来ない。最近は、触れることまでできなくなってしまっていた。しかし声は伝わる。
言葉で励ますことが出来る。私は、妻の看病をしてやれない自分を不甲斐なく思いながら、しかし何とか妻が体調の悪い時
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794:You Wandering In The Teacup (お題:紅茶の香り)  9/10 ◆/xGGSe0F/E[saga sage]
2013/10/23(水) 02:57:11.45 ID:KgQvzn720

 妻が入院したらしい。
 私は市村さんの奥さんから連絡を受けて、すぐさま病院に向かった。どうやら買い物帰りに郵便受けの前で倒れていると
ころを彼女が発見して、救急車を呼んでくれたらしい。
 病室には、六つほどベッドがあり、そこには凛の姿はもちろん、誰の姿もなかった。
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795:You Wandering In The Teacup (お題:紅茶の香り)  10/10 ◆/xGGSe0F/E[saga sage]
2013/10/23(水) 02:57:50.74 ID:KgQvzn720

 あれから数年。
 私は紅茶の香りをかぐたびに、不思議な彼女の事を思い出す。
 あれは幻だったのか。現実だったのか。
 それとも紅茶が見せた幻影だったのか。
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796:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL)[saga sage]
2013/10/23(水) 03:10:59.31 ID:KgQvzn720
私自身、かなりの紅茶好きです。紅茶は麻薬だと思う。
実際に紅茶の葉には中毒性のある物質(?)が入っているらしいですね。
名称は忘れましたが、なんかあったと思います。カフェインとは別に。
一時期、紅茶が好き過ぎて確か中学校の時期にいろいろ研究したのですが、ほとんど忘れました。恐らく的外れの研究だったと思いますけど。

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