過去ログ - 文才ないけど小説かく(実験)4
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902:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL)[saga]
2013/12/09(月) 22:24:46.11 ID:i5OAEZ7e0
>>880です
投下します



903:黒の牢獄 (お題:遺影)1/6[saga]
2013/12/09(月) 22:27:00.89 ID:i5OAEZ7e0
<thief>
 彦坂大輝は小さい頃、よく友達を家に呼んでゲームをしていたことを思い出していた。一番やったのはド定番ともいえ
る「スーパーマリオ」のシリーズだった。囚われのお姫様を救い出す、そんなストーリーは誰も気に掛けず、ただ目の
前のカメを踏みつけながら進んでいくのが彦坂や友人にとって楽しかった。現実世界で、お姫様が攫われたら一国の軍
隊が動くだろう。一般市民だって警察が動く。ちょっとジャンプ力が異常なだけのしがない配管工が、なぜ単身敵の根
以下略



904:黒の牢獄 (お題:遺影)2/6[saga]
2013/12/09(月) 22:28:48.72 ID:i5OAEZ7e0
<thief>
 彦坂は立ち上がり、散らかった部屋の中心に置かれたさらに散らかった机を見た。まず鍵と携帯を探してポケットに突っ
込んだ。電気代の明細に通夜の知らせの葉書、空になったコンビニ弁当の箱。お前らはゴミ箱行きだ、と呟きながらゴミ
箱に向けて投げ捨てる。飲みかけの麦茶を飲み干し、掛けてあった厚手の上着を羽織った。気は進まないが、しょうがな
いな。頭の中で何度か繰り返し、家を出た。
以下略



905:黒の牢獄 (お題:遺影)3/6[saga]
2013/12/09(月) 22:29:48.38 ID:i5OAEZ7e0
<prison>
 じっとしていると、昔のことを思い出す。大学に入って、俺はヨットサークルに入った。きっかけは、単に山の麓で生
まれ育ったことに対する反発心だった。あるいは、普段の生活では目にすることのなかった海に対して幼い憧れを持って
いたのかもしれない。何にせよ、半ば気まぐれでヨットを選んだことは正解だったと思っている。当時の自分にはいくら
感謝してもしきれない。
以下略



906:黒の牢獄 (お題:遺影)4/6[saga]
2013/12/09(月) 22:33:04.35 ID:i5OAEZ7e0
<thief>
 彦坂が電車を降りたとき、太陽はとうに姿を隠し、まばらな街灯と月明かりが辺りを照らしていた。駅から延びる道は
ゆるやかな登り坂で、この時間にはほとんど人通りもない。彦坂がこの、館野の実家に至る2kmほどの道を通るのはこれ
が2回目である。彦坂はその時のことを思い出していた。

以下略



907:黒の牢獄 (お題:遺影)5/6[saga]
2013/12/09(月) 22:34:03.41 ID:i5OAEZ7e0
<prison>
 日中は、この部屋にも人が入れ替わり立ち代わりやってきたが、夜になって誰もいなくなった。襖は締め切られ、薄暗
い和室の中、蝋燭の明かりだけが怪しく揺らめいている。
 ふと、誰かの気配を感じた気がした。いや、その言い方はあまり正しくない。この家にはこの時間でもある程度の数の
人間がいるはずだからだ。ただ、彼らは皆一様に空虚で暗い顔をしている。その中に、高い熱量を持った人間が現れた、
以下略



908:黒の牢獄 (お題:遺影)6/6[saga]
2013/12/09(月) 22:35:09.24 ID:i5OAEZ7e0
<thief>
 彦坂が襖を開けると、中からは線香のむっとするような匂いがした。白木の棺が重々しく置かれ、その奥に菊の花で飾
り立てられた館野の遺影が飾られていた。
「館野さん、迎えに来ましたよ」
 そう一言声をかけた彦坂には、館野が遅かったな、と笑いながら言ったのが聞こえた気がした。彦坂は襖を閉め部屋に
以下略



909:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL)[sage]
2013/12/09(月) 23:04:57.46 ID:i5OAEZ7e0
以上です。
2/6で改行のミスがあったようで申し訳ないです。


910:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]
2013/12/11(水) 20:38:48.84 ID:zdwSPjMAO
>>遺影
遺影に拘る彦坂の価値観がよく理解できなかったわ
でも話の進行とオチに意外性を感じられて良かった


911:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
2013/12/25(水) 15:59:58.52 ID:Kv6T/mQqo
お題下さい


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