過去ログ - 恵美「もしも魔王の正体に気づかなかったら」短編集
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[sage saga]
2013/07/13(土) 19:17:16.06 ID:OcKQEmd6o
【もう一つの恋心】
千穂が事務室に入ると、そこには一人の男の姿。
真奥「……ん、ちーちゃんも休憩か?」
千穂「あ、はい、そうです」
真奥「そか、お疲れ」
それ以上会話は続かず、千穂は真奥の向かいの椅子に座った。
微妙な沈黙。
ここのところ、バイトで二人きりのときはこれが常だった。
ちらちらと千穂のほうを見て、何かを言いたそうにしている真奥の内心が、千穂には見て取れた。
千穂(……真奥さん、いい加減な人じゃないもんね)
彼は千穂と、千穂の友人でもある恵美とに言い寄られており、それを三人は互いに知っている。
千穂はその状態に不安はあっても、不満はなかった。
異世界から来て、いずれ戻るつもりの真奥が自分の恋心に応えるのは容易いことではないと分かっているし、
仮に恵美の想いに応えることになっても祝福できるつもりでいた。
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