42: ◆m7QL2KBO9Y[saga]
2013/07/15(月) 20:36:31.92 ID:56YF+2pR0
「しゃーっ!」
八九寺は僕の腕に、一生消えないんじゃないかと思うほどの深い傷を残し、やっとのことで僕から離れた。
「ふしゃーっ!ふしゃーっ!」
43: ◆m7QL2KBO9Y[saga]
2013/07/15(月) 20:37:12.84 ID:56YF+2pR0
「で、阿良々木さん」
八九寺は僕に訊ねてきた。
「今日はどちらに?見たところ、学校帰りのようですが、たしか阿良々木さんのお宅とは方向が違いますよね」
44: ◆m7QL2KBO9Y[saga]
2013/07/15(月) 20:37:53.56 ID:56YF+2pR0
「いえ、厳しいも何も同性の友達くらい、誰にだっていると思いますが」
「止めろ。それ以上悲しいことを言わないでくれ」
今日の八九寺は、いつになく厳しかった。
45: ◆m7QL2KBO9Y[saga]
2013/07/15(月) 20:39:09.61 ID:56YF+2pR0
「そういえば、八九寺」
「はい?なんでしょう」
「お前って幽霊なんだからさ、それを利用して遠くに言ってみたりとかしないのか?」
46: ◆m7QL2KBO9Y[saga]
2013/07/15(月) 20:39:58.86 ID:56YF+2pR0
「それに、私は極度の方向音痴にして生粋の迷子っ子ですからね。ちょっとでも遠出をしようものなら、直ぐに迷子になってしまう自信がありますよ」
「生粋の迷子っ子って…………」
どんな迷子だよ。いや、まあちょっとかっこよさげだけどさ。
47: ◆m7QL2KBO9Y[saga]
2013/07/15(月) 20:40:56.82 ID:56YF+2pR0
「いえ、そういうことではなくてですね」
「ん?」
八九寺は僕の心中を読み取った風に言った。
48: ◆m7QL2KBO9Y[saga]
2013/07/15(月) 20:41:51.41 ID:56YF+2pR0
「いや、お前は今の立ち位置でも充分においしいと思うけどな」
「そんなことは、阿良々木さんが主人公だから言えるんですよ!阿良々木さんには、雑談でしか物語に関われない役回りの気持ちなんてわかりませんよ!」
「お前が何を言ってるのか、僕にはさっぱりわからないな!」
49: ◆m7QL2KBO9Y[saga]
2013/07/15(月) 20:42:36.84 ID:56YF+2pR0
「そいつは…………なんていうか、光栄だな」
「ええ、光栄に思っておいてくださいね」
八九寺は、微笑んで言った。
50: ◆m7QL2KBO9Y[saga]
2013/07/15(月) 20:43:22.01 ID:56YF+2pR0
阿良々木暦が学習塾跡に着く少し前。
四階にある一つの教室には、ロープで身を拘束された零崎人識と、その横で火の着いていないタバコを咥えて立っている忍野メメの姿があった。
「おいおっさん。いい加減、このロープを解きやがれ」
51: ◆m7QL2KBO9Y[saga]
2013/07/15(月) 20:44:09.01 ID:56YF+2pR0
「つーか、なんだよあのお札や数珠は。てめえは呪い名かっつーの」
人識がメメに突っ込んでいった後、メメは人識の攻撃をかわして距離をとると、数珠を手に持ち呪文を唱え始めた。
すると、人識の身体からは力が抜けていき、その隙にメメは人識の顔にお札を貼った。
52: ◆m7QL2KBO9Y[saga]
2013/07/15(月) 20:45:33.21 ID:56YF+2pR0
「あーも、どうでもいいわ」
人識はそう言って、教室の床に寝転んだ。
「んで、俺をどうするつもりなんだ?」
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