過去ログ - 人物語 ヒトシキオーガ
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1: ◆m7QL2KBO9Y[saga]
2013/07/13(土) 22:41:35.13 ID:ATs0awmn0
人殺しというのは、おそらく人類史上最悪の部類に入る罪だと僕は思う。

ある一個人が、その他の個人の意識と、意志と、未来と夢と希望、そして命を摘み取る行為に、僕は嫌悪感を示さずにはいられない。いや、大抵の人はそうだと思うけれど。

しかし、もしも誰かに、何故人を殺してはいけないのか?という質問を投げかけられた時に、それに即答できる人は残念ながら少ないのではないだろうか。

自分がされて嫌なことは相手にもしない。法律で禁止されているからしてはいけない。駄目なもの駄目。答が出てきたとしても、その程度が関の山なんじゃないだろうか。

いや、別にその答が間違っているわけではなく、むしろ正論だろう。正しくて、正しくて、そして薄い。

まるで、僕という人間のように。



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2: ◆m7QL2KBO9Y[saga]
2013/07/13(土) 22:43:49.21 ID:ATs0awmn0
では逆に、人殺し、殺人者の方の意見はどうなのだろうか。

幸か不幸か、なんてそんな言葉を前置きするのが馬鹿馬鹿しくて嫌になるくらいに不幸なことに、僕は忍野がこの町から出て行く少し前に、一人の殺人鬼と出会った。

零崎人識という名の殺人鬼と、出会ってしまった。
以下略



3: ◆m7QL2KBO9Y[saga]
2013/07/13(土) 22:44:59.40 ID:ATs0awmn0
神原駿河の問題が解決した数日後、千石との再開の数日前の六月某日。僕は夜道を自転車を漕いで進んでいた。

例の廃墟にいる吸血鬼の成れの果て。忍野忍に血を与えるためだ。

既にこれは僕の生活のなかに組み込まれたいる行動で、なんならルーチンワークといっても過言ではないことなのだけれど、今日は少しいつもと違った。
以下略



4: ◆m7QL2KBO9Y[saga]
2013/07/13(土) 22:46:03.36 ID:ATs0awmn0
「はあ………」

なんだろう。嫌な予感がする。この人とはあまり関わり合いにならない方がいいかもしれない。

見たところ、こんな髪の色を染めただけで即不良扱いされるような田舎町では、下手したら姿を見られただけで警察に通報されるんじゃないかと思うほど派手な格好をしてるから、この近くの人じゃないんだろうけど。
以下略



5: ◆m7QL2KBO9Y[saga]
2013/07/13(土) 22:47:04.46 ID:ATs0awmn0
「えっと、僕もちょうどそこに行く途中なんでそれはいいんですけど、そこに何しに行くんですか?」

初対面で厚かましい人だなと思いつつ、僕は男に聞いた。

「ああ。俺は今全国を旅してるんだけどさ、しばらくここら辺にいようと思ってんだ。んで、だからここら辺で拠点に出来そうな場所を探してたんだ」
以下略



6: ◆m7QL2KBO9Y[saga]
2013/07/13(土) 22:48:30.16 ID:ATs0awmn0
「そうですか。じゃあ、えっと、ここから少し距離がありますけど………」

「そっか。なら歩いて行こうぜ。野郎同士で自転車の二人乗りなんて勘弁だしな」

「…………………」
以下略



7: ◆m7QL2KBO9Y[saga]
2013/07/13(土) 22:49:35.91 ID:ATs0awmn0
「零崎さんは、なんで全国を旅なんてしているんですか?」

学習塾跡へと向かう道中、僕は零崎さんに質問した。

聞けば零崎さんの年齢は、二十歳やそこらだと言う。
以下略



8: ◆m7QL2KBO9Y[saga]
2013/07/13(土) 22:50:33.72 ID:ATs0awmn0
「自分探し、ですか」

「ああ。自分がなんの為に生まれてきたのかとか、なんの為に生きてるのかとか、そもそも生きてるってなんのかとか、あんただって、ちょっとは考えたことあんだろ?」

「そりゃまあ、生きてるってなんなのかっていうのは、わりとよく考えますけど」
以下略



9: ◆m7QL2KBO9Y[saga]
2013/07/13(土) 22:51:31.00 ID:ATs0awmn0
「それで、答は見つかりましたか?」

「あ?いや、全然全く見つからねえな。かはは。人生を説いてもらうつもりはねえとは言ったが、だからと言って人生に迷い無しってわけにもいかねえな」

「………そうですか」
以下略



10: ◆m7QL2KBO9Y[saga]
2013/07/13(土) 22:53:17.73 ID:ATs0awmn0
「………見えねえんだが」

「え?」

見えない?どういう事だ?
以下略



11: ◆m7QL2KBO9Y[saga]
2013/07/13(土) 22:54:33.16 ID:ATs0awmn0
会って十分足らずの人を怒らせてしまった。

僕って、そんなに考えている事が顔に出やすいのだろうか?

なんにせよ、反省しなければ。
以下略



12: ◆m7QL2KBO9Y[saga]
2013/07/13(土) 22:55:39.94 ID:ATs0awmn0
「はい、そうです。えっと、僕は元々ここに居る奴。忍野っていうんですけど、そいつ会いに行くんで」

「そうか。じゃあ俺も行くわ。一応、挨拶みたいな事もしときたいし」

「わかりました。じゃあ行きましょう。結構ボロボロなんで、足下とか気を付けてくださいね」
以下略



13: ◆m7QL2KBO9Y[saga]
2013/07/13(土) 22:56:51.34 ID:ATs0awmn0
「待ちかねたよ、阿良々木くん」

教室に入った矢先に、いつものように見透かしたようなことを言って、忍野は僕達を迎えた。

「おや、今日は女の子じゃなくて、男の人を連れているんだね。もしかして、阿良々木くんにはそういう趣味があるのかな?」
以下略



14: ◆m7QL2KBO9Y[saga]
2013/07/13(土) 22:57:50.72 ID:ATs0awmn0
「そうかい。じゃあ、遠慮なく使わしてもらうぜ」

そう言うやいなや、零崎さんは教室から出ていこうとした。

「んじゃ、俺はもう寝かせてもらうとするわ。道案内サンキューな、助かったぜ」
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15: ◆m7QL2KBO9Y[saga]
2013/07/13(土) 22:58:46.19 ID:ATs0awmn0
「まあ、いいや。で、阿良々木くん。今日はどういう用事なんだい?まさか流石の阿良々木くんも、道案内のためだけにここに来るなんてことはないだろう」

「なんの用って、忍に血をやるためだよ。決まってるだろ」

「あー、やっぱりそうだよね」
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16: ◆m7QL2KBO9Y[saga]
2013/07/13(土) 23:00:19.13 ID:ATs0awmn0
「忍ちゃんね。僕がさっき彼女のミスタードーナツを食べちゃったから、機嫌悪くなってふて寝しちゃったんだよ」

「何やってんだよ、お前」

本当に大人気ないというか、なんというか。
以下略



17: ◆m7QL2KBO9Y[saga]
2013/07/13(土) 23:01:40.20 ID:ATs0awmn0
阿良々木暦が学習塾跡を出てから数時間後、零崎人識は行動を開始していた。

行動。忍野メメの殺害。

それは別に特別な意味を持ったことなどではけっしてなく、ただの一人の殺人鬼としての、当然の、必然の行いだった。
以下略



18: ◆m7QL2KBO9Y[saga]
2013/07/13(土) 23:02:36.18 ID:ATs0awmn0
「さてと、それじゃあいっちょ、殺し……」

「ん?零崎くんじゃないか。そんな所に突っ立って、何か僕に用かい?」

「っ!?」
以下略



19: ◆m7QL2KBO9Y[saga]
2013/07/13(土) 23:03:40.71 ID:ATs0awmn0
「かはは。傑作だぜ。何にもねえ田舎町だと思ったが、やっぱ俺ついてるな」

そう言って、人識は両手にナイフを持って臨戦態勢へと入った。

「おいおい、最近の若い子は物騒だな。ったく、何かいいことでもあったのかい」
以下略



20: ◆m7QL2KBO9Y[saga]
2013/07/13(土) 23:05:33.17 ID:ATs0awmn0
今日はここまでです。
今回は、書き溜めがあまりないので、少しずつ投下していきます。
そんなに長くはならない予定なので、良かったら最後まで見て下さい。


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