12: ◆tSiWM5GIyDZg[saga]
2013/07/14(日) 18:19:54.64 ID:EnRHzSex0
すると、すぐにメールの着信音が鳴り響いた。
僕は、その音を聞いて、すぐに表情が青ざめていくのを感じていた。
まさか。僕は自殺する事になるというのか?いたずらじゃないのか。
彼女の真剣な声を思い出して、僕は震えるように携帯を覗き込んだ。
件名 : 幸せになりましょう
鳥肌が立つのを感じた。幸い、本文は表示されない設定にしていた。
良かった。僕は、恐怖を感じながらでも、指をボタンにかけていた。
部屋の外からは、父と母の話し声しか聞こえない。それに安堵した。
誰かの声が、これほど救いになると思ったのは、いつ以来だろう。
「自殺した」「おかしくなった」と、彼女の言葉を反芻していた。
僕はまだ、自殺するような理由も、おかしくなる理由だってない。
なら、どうして自殺した?その自殺は、偶然ではないのだろうか。
まだ、指はボタンにかかったままだった。
僕は「偶然」という、何の根拠もない言葉を盾にしていたと思う。
指をボタンにかけて、押そうと思ったり、やめよう、と思ったり。
ベッドの中で思案する時間がいくらか続いたとき、事は起こった。
「ねえ。話があるから、入るわよ。さっきのこと…いない?」
扉がノックされ、一瞬で緊張状態になった僕の手に、力が入った。
僕は吸い寄せられるように、その本文だけを目に焼き付けていた。
僕の思考が白く染まってゆくのが判った。本文には、ただ、一言。
「あなたの『一生のお願い』は何ですか?」
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