167: ◆m03zzdT6fs[saga]
2013/09/07(土) 00:51:14.60 ID:XIq8vfkGo
「――あ、あら、Pさん?」
しばらく聞き入って呆然としていた私だったが、歌い終わった彼女は気が付いたように、そんな言葉を私に掛ける。その表情は少し恥じらいを帯びていたが、それすら私の眼には入らない。
『……千秋さん、今のは』
「れ、練習の途中の息抜きよ、息抜きっ。に、似合わないのは分かっているわっ。でも、私だって……」
『アゲイン』
「……え?」
いじける様な彼女の言葉を途中で遮って、私は言った。そして、半開きだった防音扉を閉め、真っ直ぐ千秋さんの目を見据え、言う。
『アゲイン。もう一度だ、もう一度歌ってください。頼む、千秋さん。私に聞かせるのじゃなくて、歌いたいように』
少し鬼気迫るものを感じたのだろうか。きょとんとした表情で、え、ええ、と答える千秋さんは、それでも少し恥ずかしそうに私を見る。
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