過去ログ - 人生ゲーム
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1: ◆hOVX8kZ7sLVS[saga]
2013/07/27(土) 21:58:20.87 ID:S/7JCsE90

僕の隣の席には、殺人犯が嬉しそうに座っている。

授業中なのにもさもさと赤ウインナーを頬張っている。
美味しそうだ。僕にも一つわけてもらえないだろうか。

「ねえ。僕にもそれ一つもらえないかな」

「嫌よ。だって後十本しかないんだもの」

十本もあるなら一本くらいわけてくれてもいいと思う。
ついに僕の赤ボールペンは赤ウインナーに見えてきた。

「あっ、いいこと考えたんだけど聞いてよ」

彼女の思いつく大半は他人にとって良い事じゃない。
いいけど、と僕が苦笑いして言うと、彼女は言った。

「次はあなたにしようかなって思ってるの」


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2: ◆hOVX8kZ7sLVS[saga]
2013/07/27(土) 21:59:22.60 ID:S/7JCsE90

というわけで、僕は次の原因不明の死体になることとなった。

殺されるのは構わないけど、一応理由くらい知りたい。
ついでに言うならどういう論理で死ぬのかも気になる。
以下略



3: ◆hOVX8kZ7sLVS[saga]
2013/07/27(土) 21:59:56.69 ID:S/7JCsE90

『ねえ、次は誰を殺すつもりとか、考えてるの?』

『考えてない。人生つまんなそうな人にするかも』

以下略



4: ◆hOVX8kZ7sLVS[saga]
2013/07/27(土) 22:00:24.13 ID:S/7JCsE90

彼女は放課後、僕を屋上まで呼びつけた。

「やっほー」とこちらに手を振りながら待っている。
真顔でしかも抑揚のない声で言われれば少し怖いな。
以下略



5: ◆hOVX8kZ7sLVS[saga]
2013/07/27(土) 22:00:51.71 ID:S/7JCsE90

「そんなことはしない。だって、はじめての友達だもの。
 屋上から突き落とすのもいいけど、今はまだ人が多いし」

そう言って、彼女は年中装着している右手の手袋を取った。
以下略



6: ◆hOVX8kZ7sLVS[saga]
2013/07/27(土) 22:01:18.00 ID:S/7JCsE90

彼女の細く長い、ひんやりとした右手を握った瞬間だった。

言い表せない感覚。近しいものだと、足元が崩れ落ちる感じ。
そんな感覚がやってきて、ああ、余命は七日間か、と思った。
以下略



7: ◆hOVX8kZ7sLVS[saga]
2013/07/27(土) 22:01:44.27 ID:S/7JCsE90

「あなたのおごりで、わたしはパフェを食べます。以上」

簡潔に金欠になるような一言で今後の予定が決定された。
一応、今後の為に節約してたんだけど、死ぬんだっけか。
以下略



8: ◆hOVX8kZ7sLVS[saga]
2013/07/27(土) 22:02:12.43 ID:S/7JCsE90

心中の動機として青春の一ページのような告白を引用された。

ま、こうならないと僕が彼女に告白することなんてないものな。
告白してくれたし、僕も彼女に告白しないとフェアじゃないか。
以下略



9: ◆hOVX8kZ7sLVS[saga]
2013/07/27(土) 22:02:40.49 ID:S/7JCsE90

「いいよ。ていうかベッドの下を覗かないで。何もないよ」

彼女はいつもすっからかんの鞄から大量の下着を取り出した。
元々泊まる気満々だったのだろうか。これでは確信犯だろう。
以下略



10: ◆hOVX8kZ7sLVS[saga]
2013/07/27(土) 22:03:07.20 ID:S/7JCsE90

「自殺前とか、ふらっと消える人の定番だと思うんだよな」

と、僕は約四畳半の自室に入り部屋を見回しながら言った。
雑多。とにかく人に好かれようと思った結果がここにある。
以下略



11: ◆hOVX8kZ7sLVS[saga]
2013/07/27(土) 22:03:32.81 ID:S/7JCsE90

という僕の予測は見事に当たってしまった。作業が進まない。

いざ余命が決まるともう一度目を通したい本が山ほどある。
「懐かしいな」からはじまり「進んでねえな」で終わった。
以下略



12: ◆hOVX8kZ7sLVS[saga]
2013/07/27(土) 22:04:02.75 ID:S/7JCsE90

途中から紐を持って途中参戦した彼女は、中々に役立った。

一つ問題点があるとするならば、本を亀甲縛りで縛るところか。
一般雑誌から音楽からゲームまでが猥褻物に早変わりしていた。
以下略



13: ◆hOVX8kZ7sLVS[saga]
2013/07/27(土) 22:04:30.87 ID:S/7JCsE90

三杯目からはそっと出しなんて言うが、彼女には通用しなかった。

四杯目も五杯目も嬉しそうに「おかわり!」と叫んで出す。
割とうるさい。作業に加え近所迷惑に拍車がかかっている。
以下略



14: ◆hOVX8kZ7sLVS[saga]
2013/07/27(土) 22:05:03.22 ID:S/7JCsE90

「じゃ、わたし、寝るから。したくなったら風俗でも行って」

相思相愛であれど雰囲気は大切にしているのだろうか。
僕のベッドを占有してそそくさと寝に入ってしまった。
以下略



15: ◆hOVX8kZ7sLVS[saga]
2013/07/27(土) 22:05:33.20 ID:S/7JCsE90

うだるような暑さに耐え切れず、僕は遠慮なくエアコンをつけた。

僕らはエアコンの直下を占領して、ただただ風に身を任せた。
あと三時間ほどで、余命は六日か。何しようかな。困ったな。
以下略



16: ◆hOVX8kZ7sLVS[saga]
2013/07/27(土) 22:05:59.27 ID:S/7JCsE90

「ごちそうさま。相変わらず、美味しかった。いい主夫になる」

今結婚したとしても、結婚一周年どころか一週間も生きてはいない。
腹が膨れれば眠くなる。ソファで互いにうとうとしていたら時間だ。
以下略



17: ◆hOVX8kZ7sLVS[saga]
2013/07/27(土) 22:06:24.66 ID:S/7JCsE90

 143 : 52 : 19




18: ◆hOVX8kZ7sLVS[saga]
2013/07/27(土) 22:07:02.97 ID:S/7JCsE90

「ただいま。お腹がすいた。お昼食べていないんだもの。お腹」

この街は狭いし、早々行く宛などないらしく、すぐに帰ってきた。
街の端から端まで往復しても三時間と少しくらいもかからないし。
以下略



19: ◆hOVX8kZ7sLVS[saga]
2013/07/27(土) 22:07:54.05 ID:S/7JCsE90

「一番やりたいからこそ、あなたは、今それをしてる。どう?」

「そう、かも。そうだよ。僕は、君に食べてほしくて作ってた」

以下略



20: ◆hOVX8kZ7sLVS[saga]
2013/07/27(土) 22:08:39.77 ID:S/7JCsE90

その後、僕は余命が六日を切りながらもゲームをしていた。

彼女はやはりと言った具合に「死ね」と連呼していた。
僕も割とゲーム中はがらが悪くなって本音が出ていた。
以下略



21: ◆hOVX8kZ7sLVS[saga]
2013/07/27(土) 22:09:16.56 ID:S/7JCsE90

「ねえ、今度お祭りがあるそうよ。いつかしら。楽しみ」

「ああ。それって、僕が死ぬ当日じゃないか。残念だよ」

以下略



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