10:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/08/04(日) 18:28:40.62 ID:J9Yav5ZU0
礼子「次にプロ太郎君。貴方への条件は三つよ。
まず一つ目。ほたるちゃんは貴方が担当なさい。貴方が連れて来たのだから。
うちのスタッフは志乃が連れて来た子しか、面倒を見ないわ。それでも平気?」
礼子さんは私への興味を失ったようです。隣に控えていたお花屋さんへと足を進めました。
お花屋さんは下の名前がプロタロウさんなのですね。
モバP「はい、ティンときましたので」
礼子「そんな言葉を使うのは志乃くらいだけだと思っていたけれど、貴方まで……。
志乃はそう言って色々な子を連れてくるのだけれど、私にはそのティン? が良く分からないのよね」
私にも、まったく分かりません。聞き覚えはあるのですが。
礼子「アイドルを目指すならば、うちでのモデル業だけではなく他社の御仕事をも捜し歩く事になるわ。
今すぐに提供できるのは、私が現役時代の古臭いノウハウだけ。
プロデュースに関しての手厚いサポートは受けられないわよ。後悔しない?」
モバP「笑っていたんです。
ほたるちゃんは笑ってくれたんです。
だから僕の選択は、きっと間違いじゃありません」
何の根拠も無い言葉。それを口にした彼の横顔は、礼子さんに隠れて良く見えませんでしたけど。
フッと、場の空気が柔らかくなったような気がします。礼子さんの肩が下がって――安心しているのでしょうか?
礼子「それじゃあ〜〜そうね、こうしましょう。
ほたるちゃんを一人前の女性として扱ってあげなさい。女の子は何時だってシンデレラなんだから。
これが二つ目の条件よ」
??? それがアイドル活動の秘訣になるのでしょうか。
でも礼子さんは言外に私を子ども扱いしていますよね? 確かに私は子供ですけれど。
そんな私の抗議の視線は、ウインク一つで叩き落とされてしまいました。
礼子「ほたるちゃんを女性として扱うと言っても、手は出しちゃダメよ。
花は咲く前に手折るべきじゃあないの。うちに限らずそれはどこでも御法度。
もっとゆっくり寝かせて、女は熟れるほど……イイ香りを放つものよ」
モバP「胆に銘じます」
礼子「ハートで良いの? もっと下じゃあなくて」
礼子さんがお花屋さんにもたれ掛り、胸元を弄り始めました。
わわわ、気恥ずかしくなって顔を背けてしまいます。大人って凄い。
モバP「おいで、ほたるちゃん」
お花屋さんが私の左手を引いて強引にこの場を離れようとします。
からかわれていると、気付いたのでしょうか?
礼子「履歴書は置いていきなさいな。
細かい契約は、御両親と詰めておくから」
廊下へ出た所でお花屋さんが踵を返し、私だけが外へと避難する形となりました。
社長室のドアが閉じられます。
お二人の声が遠くなり、やがて聞こえなくなりました。
そういえば、お花屋さんへの最後の条件は何であったのでしょう?
かくして継母は、灰かぶりへとお城の舞踏会へ参加するよう言いつけたのです。
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