過去ログ - 後輩「わたしは、待ってるんですからね」
1- 20
547:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/09/30(月) 20:17:49.55 ID:k2Irhjhjo

 校門を出てから、自分がどこに向かって歩いているのか分からなくなってしまった。
 家に帰ろうとしている。でも、家に帰るまでの道筋が思い出せなくなってしまった。
 
 たしかに記憶の中にあるはずなのに、どこをどう進めば家に帰れるのか、分からない。

 起きていることのすべてが現実じゃないみたいだった。
 馬鹿げているし、現実的じゃない。まるで夢の中にいるみたいな気分だ。

 でも、全部紛れもなく起きたことだ。みんないなくなって、俺は今一人だ。それが確かな現実なんだ。

 そう思ったら、どこにも帰る場所なんてないような気がした。

 だから、校門を出てすぐにビィ派に声を掛けられたとき、俺は本当に驚いたのだ。

「よう」と彼は平然とした顔で言った。いつものような顔で。

「ああ」と俺は呆然と声を返した。不思議と彼も俺のそんな態度を気に掛けず、傍へと駆け寄ってくる。

「誰かを待ってたのか?」

 やっとの思いで口から出せたのは、そんな疑問だった。

「べつにそういうわけでもないんだけど。ちょっとね、暇だったから」




<<前のレス[*]次のレス[#]>>
642Res/457.09 KB
↑[8] 前[4] 次[6] 板[3] 1-[1] l20
このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています。
もう書き込みできません。




VIPサービス増築中!
携帯うpろだ|隙間うpろだ
Powered By VIPservice