過去ログ - 削板「一緒に暮らさないか、百合子。」
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350: ◆owZqfINQN1ia[sage saga]
2014/01/11(土) 17:12:42.58 ID:hPqAd4BYo

この部屋に施されていた人払いは確かにかなり簡単なもので、魔術師であれば容易にタネに気付くことができるだろう。そもそもこの部屋に立ち入る可能性のある一方通行と結標の目だけごまかせればよかったのだから、壁に飾ってある幾つかのつまらない風景写真をある順番で並び替えるだけで解除できるように設定してあった。
だけれど彼女は超能力者であって魔術師ではない。並び替えの順番を間違えたら怪我では済まない事態になっただろうし、単に破るのではなく自分なりにアレンジしてまた別の意味を持つ魔術として成立させるのはどれだけ困難なことだろうか。彼女が手を加えたそれの使用者はあくまで原型を作った海原のままのようであるから、彼女は魔術を使用したことにはならず、「超能力者は魔術を使用できない」というルールを越えることもしていない。

「お前ホント嫌な奴だなぁ。」

そんな簡単にこれだけのことを為されてしまっては、必死に勉強してここまでやってきた自分達はどうしたらいいというのだろう。いつも如才ない笑顔を貼り付けているこの魔方陣の本来の所有者だって、こんなことを知ればさすがに一瞬真顔を見せるんじゃないだろうか、と男はその表情を想像した。
結局魔術というのは「凡人」が「才能ある者」に少しでも近付こうとした結果できあがったもので、そして「才能ある者」の頂点に立つ彼女はそういった努力をいとも容易く超えてしまうらしい。その恵まれた能力故の苦労があったことももちろん承知の上だが、最早男には彼女の存在自体が嫌味にしか思えなかった。



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